前回掲載の記事「元国税が暴露する「限りなく黒に近い」税逃れ商品のカラクリとは?」で、タックスシェルターと呼ばれる手口を用いた富裕層の「相続税逃れ」の存在を明らかにしてくださった大村大次郎さん。今回はご自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、「生命保険を使った贈与税逃れ」の実態を白日の下に晒します。
法律なんて抜け穴だらけ? 贈与税を逃れる富裕層の手口とは
生命保険で「贈与税」を安くする方法
前号では、この世には、その商品を買うと税金が安くなる、タックスシェルターなるものがあり、その一つに「生命保険」があるということを述べました。そして、相続税を安くする生命保険のことをご紹介しました。
その生命保険をざっくり言うと、満期になれば多額の返戻金が出るのに、満期になるまでの一定期間には、ほとんど解約返戻金がない生命保険のことです。
生命保険の場合、保険金の額が相続税の対象になります。が、資産家が自分ではなく、他の誰かを対象にして保険に加入し、受取人が資産家となっていた場合は、資産家が死亡した時点での「解約返戻金」が相続税の対象となります。
だから、解約返戻金がゼロに近い生命保険を遺産として残しておけば、相続税はほとんどかからないというわけです。そして、そのうち、満期になれば、莫大な返戻金がもらえるのです。
しかし、この生命保険には弱点がありました。相続税としての資産価値がゼロに近くなる期間(含み益が大きくなる期間)というのは、非常に短い時間しかない、ということです。というのも、加入してすぐのときには、保険の未経過期間が長く、前納した掛け金は「保険の掛け金」ではなく単なる「前払い金」とみなされるので、資産を小さくすることはあまりできません。
満期が来る直前には、90%以上の資産が目減りできる高パフォーマンスを持っていますが、満期が来れば返戻金は満額になってしまいますので、フリダシに戻ることになります。つまりは、満期がくる前の5年間くらいで死亡すればかなりの効率的な相続税対策になりますが、それ以外の10年間で死亡したり、もしくは15年の間に死亡しなかったりすれば、相続税対策としての効果はあまりないのです。