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弱気に傾くヘッジファンドの帝王、レイ・ダリオ氏の「台所事情」を読む=江守哲

ダリオ氏はなぜトランプを見限ったのか?

しかし、ダリオ氏はトランプ大統領自身が市場のリスクになったとして、考えを変えたようです。

ダリオ氏は「市場がうまく織り込んでいないリスクが増大している。経済的というより政治的なものだ」としています。

そのうえで、具体的なリスクとして、北朝鮮の核ミサイルをめぐるトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長のチキンレース、米国議会が9月末に債務上限引き上げに失敗し、政府が債務不履行に陥り、一部の連邦政府機関が閉鎖され、政治への信頼が失墜することを挙げています。

これらを理由に、ダリオ氏は「流動性を確保し、リスクを分散すべし。北朝鮮情勢と米債務上限問題が実際に悪化したなら金を買え。ポートフォリオの5~10%を金に換えておけばよいだろう」としています。

さらに「ドル・日本円・米国債などの安全資産も保有を増やせ」としています。

その一方で、最近では「現在のところ、重大な経済的リスクの高まりは見られない」としながらも、「米国内における党派的な対立が政府の効率性を麻痺させ、法案が通らず、政策を定めることができないことが懸念される」としています。

そのうえで、「現在の状況は、大衆迎合主義が台頭して民主主義が機能しなくなるなか、株式市場やリスク資産が上昇し、循環的回復で経済が改善する一方で、段階的で小規模な金融引き締めが行われた結果として不況に陥った1937年に大筋で重なる」としています。

ダリオ氏の弱気予想は外れ続けている

ダリオ氏は、昨年も「1929年の恐慌時に似ている」として、株価の暴落と金融市場の混乱を指摘していました。しかし、そのようなことは起きず、米国株は過去最高値を更新していきました。また、今年に入ってからも弱気なスタンスを変えず、ここにきてその見方をさらに強化させています。

報道では最近になって弱気に傾いたとしていますが、これは間違った報道ですね。つまり、この数年間のダリオ氏の見方は完全に外れているのです。

大胆発言の裏にある意図

ダリオ氏は、国際情勢からマクロ経済、金融政策、歴史、社会のトレンドなどが引き起こす需給の変化を綿密に調査し、そこから価格の大きな上昇または下落を予想してポジションをとる「グローバルマクロ戦略」を採用しています。まさに、私がこのメルマガでお伝えしている戦略です。

ダリオ氏の今回の発言の裏には、何かしらの意図がある可能性があります。ダリオ氏の市場の見立ては、見た目は道理にかなっているようにみえますが、結果が出ていません。

運用するブリッジウォーター・アソシエイツのファンドの最近の成績は冴えない状況にあり、今年上半期のパフォーマンスでは、マクロファンドの「ピュア・アルファII」が前年比マイナス2.5%となっています。そのため、何とか成績を挽回させる必要に迫られている可能性があります。

そこで、今回のような大胆な発言を行って、市場を動かそうとしているのではないかとの見方があるわけです。

つまり、ポジショントークで市場を動かそうとしているわけです。これは、米国のヘッジファンドマネージャーがよく使う手であり、まったく違法でも何でもありません。ごく当たり前です。この点は、このメルマガでも何度か解説したとおりです。私も同じようなことをしていますが、日本ではあまり感心されませんね(笑)。

Next: 弱気な見通しは冴えない運用成績の「言い訳」か?

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