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いつもの読みが通用しない!「2017年のルール変更」にはこう立ち向かえ=八木翼

日本が意識すべき主な国:アメリカ

2015年、日本はどこの国に最も製品を輸出したでしょうか?

それは、米国です。

1位:アメリカ 152,246億円(輸出全体の20.1%)
※財務省貿易統計より

ちなみに2位は中国です。

2位:中国 132,234億円(輸出全体の17.5%)

ルールと言えば、国です。最近は「国家」なんて古い組織と言われていますが、現在では国がルールの根幹を決めています

直近の話題では、フォードモータースも、トランプが課税すると脅せば、メキシコに移転させようとしていた工場をアメリカに残すようになるほどの影響力を持っているわけです。

アメリカの強みは、市場が自分の国にある点です。つまり、お金を集めて使うことが得意なのです。お金を集めて使うというのは、消費だけではありません。価値を生み出すことも得意なので、「投資するお金」も集まってくるのです。

トランプ大統領は、法人税を大幅に下げ、ルールを変えようとしています。法人税を下げることで、企業はキャッシュを手にすることができます。トランプ大統領の減税のパーセンテージだけで、世界の株式市場が大きく動きます。

単純な話ですが、減税は「べき乗」で効いてきます。例えば、これまで100万円稼いだら40%を税金でとられていたとしましょう。手元に残るのは60万円だけです。この60万円から新規の投資をして、稼ぐ金を増やさなければなりません。

資本効率が20%だったとしましょう。100万円の稼ぎから60万円を投資に回し、次の年は 100万円+60万円×20%=112万円 の利益を手にします。

しかし、これも利益の40%を税金でとられるとすると、残るのは67.2万円です。これを10年後まで行っていくと、10年後には166.384万円稼げるまでになります。

さて、この税率が15%になるとどうなるでしょうか? なんと10年後の稼ぎは、246.504万円稼げるようになっているんです。

税率40%の場合は、10年後の稼ぎが、
60万円→166.384万円(約106万円増加)

税率15%の場合は、10年後の稼ぎが、
60万円→246.504万円(約186万円増加)

そりゃ当然、稼ぎが増える速度が上がるのですから、株価は上昇します。2倍とまでは行きませんが、期間をさらに伸ばしていけば、この差は指数関数的に広がっていきます。

減税とは、企業の投資資金を確保させ、未来を大きく変える可能性に満ちた政策です。現代では、政府がお金を使うよりも、GoogleAppleが自分でお金を使ったほうがより効率的になりました。一昔前までは、国がインフラを整えるという役割を担っていたのですが、今はその様子は変わってきています。

そういう意味で、この減税政策を甘く見てはいけませんし、個人的には、日本も積極的に減税すべきだと思います。こうなれば、ポっと出てきた企業が、投資の力を使って勢いよく成長する可能性も高まります。

つまり、世の中の動きが加速するのです。成長できない企業は淘汰され、成長できる企業はどんどん成長していきます。ソフトバンクは、10兆円規模の投資ファンドで、それら企業への投資を考えているのでしょう。

現在は、明らかに投資が有利な世界になっています。株価が割高だから投資しないという人もいますが、「割高」とは、何をもって「割高」と言っているのでしょうか? 「法人税が高い」という以前のルールでの割高であれば、それは「赤ドラ」を考慮しないで玄人の読みを行う雀士と同じです。

一方、もう一つの巨大市場はどこでしょうか? そう、お隣の国「中国」です。

Next: 日本の輸入先ダントツ1位の中国。「世界の工場」という位置づけに変化はあるのか

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