政府・日銀が誇る「政策効果」が不景気を招く怖れ
物価がこのまま上がるとすれば、長期金利にも上昇圧力がかかり、日銀は無制限の指値オペをしないと、10年債をゼロ金利に維持できなくなります。また、インフレが達成されれば、市場が望む緩和の継続ができなくなります。
つまり、マスコミがこの物価上昇をポジティブに評価しても、政府・日銀寄りの姿勢を示すことにしかならず、それは市場の期待とは異なるものです。
それより何より、このタイプの価格上昇では、一時的には良いとしても、結局、需要を冷やす結果、値上げが広がらず、むしろ購買力の全体的な低下から、今後値下げを余儀なくされる企業が増える可能性があります。実質賃金がまた減少しています。
今回の消費者物価上昇の内容は、このように「増税型」のもので、今後需要を冷やす面があります。少なくとも、賃金上昇、需給改善による値上げ、というものではなく、今後も賃金物価の好循環を示唆する内容にもなっていません。
これが「政策効果」というのであれば、これを続けるとむしろ景気を圧迫するリスクがあることを認識する必要があります。日銀にとっても喜べるものではないのです。
※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年10月2日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『マンさんの経済あらかると』(2017年10月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。