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小池流「ユリノミクス」の経済学。結局、誰が得して誰が損するのか?=斎藤満

第3の柱:内部留保課税

第3の柱は、財政金融政策に変わって民間活力を引き出すためとして、内部留保課税を提示しています。

前述のように、企業の利益水準は安倍政権前の四半期で12兆円台後半から、最近では22.4兆円まで約8割も高まっていますが、この間、人件費に回った分は四半期で43兆円前後で全く増えていません。企業は利益を労働者に還元せず、ひたすら「利益剰余金」という内部留保に積み上げました。

内部留保は12年12月の274兆円から、今年6月には388兆円に110兆円余り積みあがりました。この内部留保に回った分を投資や賃金に活用させるため、内部留保に課税しようとのアイデアです。1%の課税で4兆円近い財源にもなります。

これは税金でとられるのが嫌なら、設備投資や賃金に回せと言うもので、いわば企業に対する「北風政策」です。当然経団連などは反発すると予想されます。自民党は逆に、賃金や設備投資を増やした企業に減税の「アメ」を与える「太陽政策」を考えています。

企業利益を拡大させれば、いずれ労働者に「おこぼれ」つまり「トリクル・ダウン」があると政府は考えたのですが、この内部留保の積み上げがその期待を砕きました。そこでこれを何とかしたいとの声が広がり、これに課税すべきとの声もありました。しかし、企業を重視する安倍政権にとってはタブーでした。小池党首はここを突いてきました。

もちろん、これには議論の余地がありますが、ユリノミクスが企業本位でなく、国民本位であるとの印象を強めることになります。

「原発ゼロ」の侮れない破壊力

以上が、ユリノミクスが提示する「ポスト・アベノミクス」としての3つの柱ですが、公約では4つ目に、原発ゼロを掲げています。自民党は公約では明示していませんが、原発再開を進め、明らかに原発支持の立場にあります。その先にはいずれ日本も核武装する可能性があり、その備えとの考えがあります。そこへ小泉元総理から「原発ゼロを提示すれば、自民党には大きな打撃になる」とのアドバイスを受けての公約です。

今年のノーベル平和賞に、核兵器廃絶を訴える「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が選ばれました。日本の核廃絶運動を勇気づけるだけでなく、核兵器禁止条約に参加しない日本政府に対する海外からの批判、圧力を高める結果にもなりました。

これまでになく原発ゼロが国民にアピールしやすい環境になっているだけに、この公約は自民党にはダメージになります。公明党も本音は原発反対でも、自民との関係で打ち出せずにいます。

Next: 小池ユリノミクスを支援する「もう1つの米国」の腹の内

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