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経営再建を目指すシャープ、投資家はどう見ている?

シャープの業績はどうなっている? あのシャープがまさか・・・

「あのシャープがまさか倒産することはないだろう」、「これだけ下がったところで買っておけば、いつか必ず株価は戻ってくるだろう」。これが、今シャープを買いたいと言う投資家の意見のようだ。

これが正しいかどうか、まずは14日に発表した2015年3月期の決算をみてみよう。売上高は前期比-4.8%の2兆7862億円、営業利益は前期の1085億円から、480億円の赤字に転落している。

最終損益は2223億円の赤字(前期は115億円の黒字)となり、2016年3月期も最終赤字となる見通しで、単体では前期の時点で負債が資産を上回る「債務超過」に陥り、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いて事業存続が危ぶまれる状態となっている。

ポイントは、これが今に始まったものではないという点だ。シャープは12年3月期に3760億円、13年3月期に5450億円という巨額の赤字を計上して経営危機に陥ったとき、人員削減などの構造改革と、みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行の支援によってかろうじて持ち直した経緯がある。

そして、14年3月期に黒字化したことで最大の危機は去ったかに見えた。しかし、今年2月に発表した2015年3月期の業績予想において、300億円の最終黒字見込みから300億円の赤字に転落すると修正。

さらに、4月には最終的に赤字額が2000億円超まで拡大すると発表され、一気に経営危機が再燃した。前述の99%を超える減資は、通常なら最終手段ともいえる策だ。

シャープを買うなら絶対に見ておくべき「中期経営計画」

個人投資家の「あのシャープがまさか倒産することはないだろう」という意見は、ここまでの内容から判断すれば残念ながら同意できない。

シャープなら誰かが救済するという見方もあるが、すでに支援はされているし誰も慈善事業ではやっていない。シャープの一部が欲しいなら、株式の価値がゼロになってからでも間に合う。

では、シャープの株は上がらないのかというとそうとも言い切れない。これまで業績や財務について書いてきたが、結局のところポイントとなるのは「今後黒字化していけるかどうか」に尽きる。

つまり、シャープはなぜ赤字になっているのか、そして黒字化できる見込みはあるのか、黒字化できると信じるならシャープの株は買えると判断することになる。

そして、そのために是非とも見ておきたい資料が、14日に発表された「中期経営計画」だ。

シャープ「2015~2017年度 中期経営計画

中期経営計画では、5億円への減資や主力行の出資による資本増強、希望退職3500人など人員削減で今期の固定費285億円を削減、本社の売却などが発表された。

また、計画では構造改革の効果によって今期は800億円の黒字になる見込みとなっており、来期は最終損益も黒字化するとしている。これが達成できるならシャープは復活するが、残念ながらこれは「計画」という名の「目標」でしかない。

実際に、2年前に発表した前回の中期経営計画では、営業利益は計画の半分にも達していない。今回も計画通りに行くとは考えにくいだろう。

シャープを買うかどうか迷っている投資家へ

今回のシャープのケースから思い出されるのは、2005年のダイエーだろう。経営状況の悪化によって、資産の売却をすすめたダイエーは、約1200億円の資本金を5億円に減資した。事業悪化、本社の売却、資本金の額と5億円への減資など、シャープとよく似ている。

その後ダイエーは増資を行い、負債はピーク時の3兆円から約2年後の2007年には6000億円まで減少した。しかし、業績を回復させることはできずに最後は7期連続で最終赤字を計上し、2014年12月に上場廃止となっている。

シャープがダイエーと同じ道を歩む可能性は十分にある。一方で、減資以降には短期間で株価が2倍以上になるような場面もあった。これは再建への期待が膨らんだからだ。

おそらくシャープもそういった短期急騰の場面はあるだろう。ただ、急騰したとしても、株価が100円まで下がってからの上昇かもしれないし、50円から100円の上昇になるかもしれない。その上昇を捉えたいというのであれば、投機として楽しめるだろう。

しかし、今シャープの株を買おうとしている投資家には、一言だけ言わせてもらいたい。「3000以上も銘柄があるなかで、なぜ敢えて危険なシャープを買うのか。」

シャープ以上に安全で、上昇余地の大きい銘柄は日本の株式市場にいくらでもあるということは、ここではっきりと言っておこう。

プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』(2015年5月16日号)より一部抜粋
 

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