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日本株に固執する投資家はなぜ眼前の「歴史的チャンス」に気づかないのか?=江守哲

為替市場~ドル円はやはり円高の運命

ドル円はやはり115円を超えられませんでした。これで円安の可能性は大きく後退したといえそうです。いきなり結論めいたことを書きましたが、値動きだけを見ていると、見事なまでにきれいに上値を打たれたといえます。

ちなみに、チャート上の話からしてしまうと、114.85円にチャートポイントがあり、これを超えられないとみていました。

また、終値ベースでも114.15円にあるレジスタンスを下回りました。

もっといえば、113.25円のポイントも割り込んでいます。これで、「最後の砦」である112.20円を割り込んでしまうと、いよいよ崩れることになりそうです。

そうなると、チャート面からいえることは、109円が次のサポートとなり、さらに最終的には107.50円が真の意味での最終サポートとなるでしょう。

112.20円でサポートされれば、再びもみ合う可能性もありますが、楽観はできません。

さて、チャート面から入りましたが、基本的にはドル円が抱える円高圧力からは逃れられないと考えられます。

先週は、イエレンFRB議長による追加利上げに前向きな発言をきっかけにドル買いが進み、ドル円は114円台に入りましたが、上述のように、115円を超えることができませんでした。

これは、基調反転を待っていた向きからすると、きわめて残念な結果でした。しかし、仕方がありません。もともと、円安にはなりづらいのですから。

市場では、トランプ大統領の最側近の一人であるフリン大統領補佐官の辞任を受けて、リスク回避的な円買い・ドル売りが入ったことを、円高の背景としていますが、それも後付けといえます。

根本的には、ドル円は上がりにくい構造にあるということです。

トランプの政策はドル安を招きやすい

最初に政治面から言えば、過去の繰り返しになりますが、トランプ政権が掲げる財政出動は将来的にはドル安を招きやすいということです。

これは、過去のブッシュ政権(父と子)の時代の財政悪化とドル安の組み合わせを見ればわかります。

さらに、クリントン政権およびオバマ政権の民主党政権時代に財政収支の改善でドル高になっていた事実と組み合わせて考えると、もっとわかりやすいでしょう。

つまり、財政悪化につながる政策は、最終的にはドル安につながります。

また、ムニューチン氏が財務長官に就任しました。同氏がドル高論者という報道が多くみられますが、これは明らかに勘違いです。

ムニューチン氏が財務長官就任前に、「ドル高は長期的には米国にとって良い」と発言したことだけが取り上げられています。

そして、その後に「ドル高は短期的には米国にはよくない」とした発言はほとんど報じられなくなっています。ここにも、マスコミのゆがんだ報道姿勢が見られます。

トランプ氏、国家経済会議(NEC)のコーン委員長、そしてムニューチン氏はいずれも本心はドル安志向です。

ドル安にしない限り、米国はやっていけないことは明白なのです。このように、マスコミの目を引きやすい報道には注意すべきです。

一方、米国債の利回りが思いのほか上昇しないことも、意外感があるのではないかと思います。

利回りが上昇しないということは、国債が買われていることになります。国債は安全資産ですので、投資家は今後のリスクを念頭に入れていることになります。

また、利回りが2.5%まで上昇したことから、債券としての魅力を感じて投資している可能性もあります。

いずれにしても、米国10年債利回りは2.5%を大きく超えてきません。このような状況だとドルは上昇しづらくなります。

ドル円が上昇しない最大の理由

さて、ドル円が今後も上昇しづらい最大の理由は、日米実質金利差にあります。本欄では、すでに何度も解説していますが、今一度、この点を抑えておきましょう。

実質金利は名目金利から期待インフレ率を引きます。しかし、これらを簡便的に計算するために、名目金利は10年債利回り、期待インフレ率は消費者物価の前年比を用います。

これで計算すると、米国の直近の実質金利は、10年債利回りの2.425%から1月の消費者物価指数の前年比である2.5%を引きますので、答えはマイナス0.075%になります。

つまり、米国は実質的にはマイナス金利になっていることになります。これは驚きでしょう。

一方、日本は10年債利回りが0.087%でインフレ率がマイナス0.2%ですので、実質金利は0.287%になります。つまり、金利はプラスです。

これらを比較すると、金利は日本の方が米国より高いことになります。したがって、円高になりやすいということになるわけです。

為替アナリストたちが120円や130円などという円安予測をしているのは、名目金利だけを比較しているからです。しかし、この分析では正しい予測はできません。

実質金利による推計では、ドル円は104円から105円程度が理論値になります。つまり、現在のドル円はまだ相当円安水準であるということになります。

このような解説をすると、多くの投資家が驚きます。しかし、これが事実です。一般的に出回っている為替アナリストが一番してほしくない解説でしょうね(笑)。

日本株ではなく米国株に投資すべき

ということで、年内のドル高はよほどのことがない限り、可能性は極めて低いでしょう。

現在のように、理論値から10円以上もドル高・円安になったのは、ヘッジファンドがドルを買い戻したから意外に説明がつきません。つまり、フローで作られた仮想の相場であるということです。

為替水準は最終的には理論値に回帰します。過去もそうでした。私はそれを知っていますので、ドル円は年末までに一度は105円割れを試すと考えておく方がよいと思います。

無論、そうなれば、日本株が上昇するというシナリオも描けなくなります。逆に、ドル安の恩恵を受けて、米国株はさらに高値を更新するかもしれません。

こうなると、日本株よりも米国株に投資すべきという私の主張が、このようなロジックで成り立ってることをご理解いただけると思います。

このような見方は、感覚や希望、期待とは違います。あくまでデータです。私が常に心掛けているデータ重視の分析に基づく見方です。

この点が他の為替アナリストとの違いであり、予測の結果の違いに表れているといえます。

【ドル円:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ112.35円~131.90円(17年末128.50円)/弱気シナリオ101.70円~122.45円(17年末105.65円)

【ドル円:2月の想定レンジ】

強気シナリオ117.15円~122.10円/弱気シナリオ112.85円~118.25円

【ユーロ円:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ115.85円~136.55円(17年末133.70円)/弱気シナリオ104.50円~127.60円(17年末109.60円)

【ユーロ円:2月の想定レンジ】

強気シナリオ120.80円~126.75円/弱気シナリオ116.85円~122.05円

【ユーロドル:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ1.0110ドル~1.1820ドル(17年末1.1550ドル)/弱気シナリオ0.9210ドル~1.0920ドル(17年末0.9730ドル)

【ユーロドル:2月の想定レンジ】

強気シナリオ1.0355ドル~1.0730ドル/弱気シナリオ1.0040ドル~1.0490ドル

Next: 日本株に固執していると「歴史的投資機会」を見逃すことになる

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