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日経平均2万円奪還の条件。トランプラリー第2幕の「切り札」とは?=藤本誠之

日本株を左右する為替動向の注目ポイント

一方、ネガティブな面は保護主義的なところです。特にTPPはいきなり離脱されてしまいました。ただし日本との二国間での協議はやるということです。アメリカ、メキシコ、カナダの北米地域がどうなっていくのかは注目です。メキシコから関税ゼロでアメリカにどんどんものが入ってきていたわけですが、アメリカも、だからこそメキシコへ様々なものを輸出できていたわけです。このあたりが不透明で、日本の個別銘柄にも影響が出ています。

やはり自動車産業が注目となりますが、ホンダはアメリカに工場をたくさん持っており、現地生産が多く、アメリカで作っていると主張することができます。一方マツダは、アメリカに工場を持っておらずメキシコから送っていたので、ネガティブな影響を受ける可能性があります。また富士重工はアメリカに工場はあるものの、日本からの輸出も多い状況です。保護主義的政策の問題は日本の個別銘柄にとってはマイナスの影響が出てくることになりそうです。

また、化石燃料重視の姿勢については、クリーンエネルギーの後退が指摘されています。原油価格がもっと高くなればともかく、極端に高くはないのでこういう流れになるのかと思います。環境問題についても不透明な状況はありますが、こうして全体を見ると、経済面については株価が上がりやすい政策だと言えます。オバマ前大統領の、できるだけ格差を縮小しみんなが幸せになる政策から、アメリカだけが強くなるという政策で、これによりアメリカの労働者にお金が回るという主張なので、大きな転換と言えます。

今後、日本の株式市場に大きな影響を与えるのは、やはりドル円相場です。結局日本株は、なんと言っても外国人投資家が7割のマーケットであり、業績を見るうえで為替が重要になってきます。また、日経平均株価の多くは輸出関連企業であり、輸出関連企業の方が株価が高く、建設会社などの内需関連には株価の安い銘柄が多いので、高いほうの銘柄に引きずられます。日経平均の場合は外需関連銘柄が上がるか下がるかの影響力がどうしても大きくなるのです。

今後のドルにとってポジティブな材料は、アメリカの利上げです。今年、年3回となればドル円にはプラスで、3月に行われればドル高が進むでしょう。さらに、減税によるアメリカ景気の堅調さもドルにとってプラスです。法人税減税はEPSに効果がありますが、個人への減税は収入の増加につながり、消費性向が高いアメリカの場合、収入があれば使ってくれるので、個人消費が良くなってきます。もちろん財政に対する心配感はありますが、そうした流れで、アメリカ景気は堅調が続くだろうと思います。

ドル円相場に関して今後ネガティブな要素として、トランプ大統領の発言がありますが、確率は低くなってきたように思います。もちろん影響は受けますが、日本に対して極端なことは言って来なくなったように思われます。ただ、欧州の選挙については、もしフランスでル・ペン氏が勝つようなことになると、大変な影響が出てしまうと思います。リスクオンからリスクオフというムードに向かい、ドル円相場も円高に向かいやすくなるでしょう。リスクオフという理由で株安にもなり、さらに円高による株安という形で、負のスパイラルが出てくる可能性は否定できません。

ドル円「115円」の抵抗線を抜けるかどうかが鍵

トランプラリーで一気に駆け上がったドル円ですが、118円まで行ったところからぐだぐだしています。115円のところで何回も頭を打ち、そこが抵抗線になってしまっています。このラインを抜けてくるかどうかが日本株にとって大きな鍵となりそうです。レンジ内での動きが続けば、日経平均は1万9000円から2万円のところを揉み合う相場展開が予想されます。さらに115円を上抜けて動けば、日経平均も2万円を抜けてくる可能性が高まるでしょう。実際、フランスの選挙前にはル・ペン氏が勝てないだろうという織り込みが出てきて、為替が120円に近づくという予想されるので、足元の日経平均も強くなると見ています。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年3月1日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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