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また外資に売却? 東京都の「下水道運営権」で誰がどれだけ得をするのか=三橋貴明

一種の信仰と化した「民営化」

もはや、緊縮財政&公共サービスの民営化は一種の「信仰」と化してしまい、今や財政が好調の都道府県までもが、公共サービスの民営化を言い出す有様になってしまいました。

東京都は下水道施設の運営権の民間事業者への売却(コンセッション)を検討する。

人口減少などをにらみ、包括的な民間委託も含め、経営効率の改善策を探る。

災害対応などの課題を点検したうえで、3~4年後をめどに新しい運営手法に移行する。

下水道のコンセッションは26日の都政改革本部(本部長・小池百合子知事)の会議で検討課題として報告した。

今後、老朽化した施設の更新などで事業費が膨らむ一方、人口減少で収入は落ち込む見通し。

施設の維持管理など個別業務の委託にとどまらず、幅広く民間のノウハウを取り入れて経営基盤を安定させたい考えだ。

下水道は公共インフラとして確実に維持する必要があるため、下水道法の規定で完全民営化はできない

このため都はコンセッションや包括委託などの形式を想定。

2018~19年に民間事業者の意向調査などを進め、20~21年ごろから本格的な検討、試行に入る。

下水道分野のコンセッションは浜松市が先行して取り組んでいる。

小池知事は都内でも予想される人口減に言及して「コンセッションを真剣に考えてほしい」と話した。

出典:民間への下水道運営権売却、東京都が検討 – 日本経済新聞(2017年12月27日配信)

記事にもありますが、浜松市は下水道の一部をコンセッション方式で民営化しており、浜松ウォーターシンフォニーが受注しました。

浜松ウォーターシンフォニーは、フランスのヴェオリア社、JFEエンジ、オリックス、東急建設・須山建設グループが設立した特別目的会社です。何と、浜松の下水道コンセッションの時点で、「外国資本」が入っているわけです。

つまりは「カネの移動の自由」という意味の自由貿易ですね。

浜松の事例を見ると、緊縮財政、規制緩和(コンセッション)、自由貿易の3つが、シンフォニーを奏でていることが分かります。

いやあ、見事なものです。

特定企業の利益拡大にしかならない

それにしても、日本で最も財政的に豊かな東京都まで、コンセッションを進めるとは、藤井先生がFBに書かれていた通り、

民営化をすることが「カッコイイ」という
とんでもない勘違いをして、人々に何の役にも立たない
(しかし、民営化で受注した大企業だけが儲かる
改革や民営化を進めようとしています。

という話なのでしょう。

改革」「民営化」「規制緩和」の多くが、実は日本国民の豊かさには結びつかず、外資系を含めた特定企業の利益拡大にしかならないという現実を多くの国民が理解しない限り、我が国の公共サービスは売られ続け、スティグリッツの言う「贈り物」をレント・シーカーたちに搾り取られ続けることになるでしょう。

image by:Wikimedia Commons

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三橋貴明の「新」経世済民新聞』2018年1月5日号より

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