記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年11月21日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
心理実験で判明した核兵器レベルの大損害。消費増税を阻止せよ!
当たり前に予定されている「消費増税」
今、日本は、不適切で不条理な為政者達の振る舞いのせいで、「核」の可能性すら想定可能な北朝鮮からの攻撃によって、「大量の死者を導く大被害」を被りかねない状況におかれています。
ですが、仮に北の脅威を免れたとしても、核兵器と同レベル、あるいはそれ以上の被害をもたらし得る破壊力を秘めた対策が今、敢行されようとしています。
2019年の秋の、10%への消費増税です。
もちろん、それはあくまでも「予定」に過ぎません。しかし永田町や霞ヶ関では、このまま消費税を予定通り増税するのは、当たり前のことだと考える空気が支配しているのが現実です。
これは筆者にとっては、まったく信じ難い状況です。このまま消費増税が行われてしまえば、日本の内需は大きく冷え込み、さらなる長期デフレが決定づけられることは火を見るよりも明らかだからです。
京大で行った「消費者心理実験」
しかも――この度改めて京都大学で行った「消費者心理実験」から、今度の「10%」への消費税増税は、これまでとはまったく異なる次元の凄まじいインパクトを与えることが示されています。
つまり今度の増税は「2%税率が上がる」という効果に加えて、「税率が10%になる」ということそれ自身が、激しく消費を冷え込ませる「特別効果」を持つことが示されたのです。
この実験では、様々な商品を買うシチュエーションを想定し、その状況下で様々なパターンでの「増税」を被験者に呈示しました。そしてそのそれぞれで「商品を買い控えするかどうか」を測定しました。こうして、どういう増税がどれだけのインパクトを持つかを測定したわけです。
実験参加者は男性女性100名ずつの合計200名。この皆さんに5つの増税仮想状況を呈示し、それぞれでの「買い控え」の程度を測定しました。
(実験の詳細は以下を参照ください)
通常の「経済理論」では、3→5%への増税も、8→10%への増税も、どちらも「2%増税」なので、大きな差は無いと想定されます。つまり、増税後に何パーセントになろうが、増税する幅が同じであれば反応に大きな差は無いと考えることが一般的なのです。
だから8%の時の増税幅は「3%」だったけど、今度の10%への増税幅は「2%」なので、そのインパクトは小さくなるだろう、ということがしばしば指摘されています。
しかしそんな想定はあくまでも一般的な「経済学」の話。
「心理学」を規準に考えれば、今回の10%増税の方が、遙かに大きなインパクトを持つことが理論的に予想されるのです。