なぜか報じられない「記名投票」への変更
「ようである」としたのは、今回の理事選の投票方法が「記名式」で行われたことを報じているメディアはごく一部に限られているからである。
親方はあいうえお順で名前を呼ばれて、まず投票用紙を受け取りました。そしてパーテーションで仕切られた投票所に移動。先日、投票用紙に記載された候補者の名前に〇を付けるとお伝えしましたが、そうではなく投票用紙に名前を書き込む形でした。
出典:テレビ朝日報道ステーション(2月2日放送)
今回の理事選が「無記名投票」ではなく「記名投票」で行われたのは、相撲協会の主流派が「隠れ貴乃花支持者」が貴乃花親方に投票することを阻止するためだったことは想像に難くない。言い換えれば、相撲協会の主流派は投票方法の変更を迫られるほど、貴乃花親方支持が増える可能性を感じていたということである。
問題なのは、「記名投票」に変更になったことをメディアも、連日メディアに出演している専門家達がほとんど触れないことである。
貴乃花親方「大相撲は誰のものか?」
貴乃花親方は理事選に立候補を表明した2月1日のブログで、立候補の理由として次のことを述べている。
相撲協会の現状を見てみると、社会的な責任を果たすよりも協会内の事情や理屈が優先され、公益性から逸脱しているのではないかという大きな疑念を抱いております。大相撲は誰のものか? その公益性の意味を我々は考え直し、正す時期に来ているのではないかと思います。
今回の理事選が突然「無記名投票」から「記名投票」に変更されたことはもとより、投票方法の変更がどのようなプロセスを経て組織決定されたのかも一切明らかにされていないという現実は、貴乃花親方の「撲協会の現状を見てみると、社会的な責任を果たすよりも協会内の事情や理屈が優先され、公益性から逸脱している」という指摘を正当化するものである。
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