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貴乃花親方「惨敗」の裏側。投票を記名式に変更して、裏切り者あぶり出しか=近藤駿介

評議員会は正常に機能するのか?

今回の理事選で貴乃花親方が僅か2票しか得られずに惨敗したことは、皮肉にも現状の相撲協会が貴乃花親方の指摘する通り「社会的な責任を果たすよりも協会内の事情や理屈が優先され、公益性から逸脱している」現実を表す結果となった。

貴乃花親方が惨敗したのは、貴乃花親方の支持が広がらなかったからではなく、日本相撲協会が協会内の事情や理屈によってそれを阻まれたからということになる。

今後の焦点は、日本相撲協会の「協会内の事情や理屈が優先され」た結果選ばれた理事候補を評議員会がすんなりと認めるかとなる。

1月4日の貴乃花親方の降格を決めた評議員会後の記者会見で、池坊委員長は2月の理事候補選挙で貴乃花親方が当選した場合の対応として「評議員会は、理事会とは別個に相撲協会の管理運営などに対して正しく行われるようにする機関。その時、評議員みんなが知恵を出し合いながら進めていきたい」と発言している。

今回の理事選では、部屋での過去の暴行事件を相撲協会に報告しなかった春日野親方や、不祥事が相次ぎその管理能力に疑問が付けられている八角親方などが理事候補に選ばれた。こうした候補者が相撲協会の理事として相応しいのかについて「評議員みんなが知恵を出す」ような運営をするのか、それとも貴乃花親方でないという理由で何の議論もなく候補者を理事として認めるのかは注目されるところ。

また、「理事会とは別個に相撲協会の管理運営などに対して正しく行われるようにする機関」である評議員会が、理事候補選の投票方法が「無記名投票」から「記名投票」に変更になった理由その決定プロセス、さらには、理事選で落選した候補が降格になるという物言えぬ雰囲気を作り出す相撲協会の慣行などについてどのような見解を出すのかも注目されるところ。

「わずか2票」が改革への第一歩となるか

評議員会の対応の仕方によっては、貴乃花親方の「相撲協会の現状を見てみると、社会的な責任を果たすよりも協会内の事情や理屈が優先され、公益性から逸脱している」という指摘が説得力を増し、世の中の理解を得ることになる可能性は否定できない。

その時には、投票方法の変更やその決定プロセスに一切言及しようとしない多くのメディアや専門家達も「協会内の事情や理屈を優先し、公益性から逸脱した相撲協会のインサイダー」だという誹りを免れなくなるだろう。

今回の理事候補選挙で貴乃花親方が2票しか得られなかったことが惨敗したのか、それとも大きな勝利への第一歩となったのか。その真の結果が出て来るのはこれからである。

image by:Wikimedia Commons

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年2月4日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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