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金融緩和の出口戦略を担う「TPP11」で、日経平均は3万円を目指す=伊藤智洋

TPP参加国間で起きた「自由競争」による問題点

TPPは、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドで「P4」として発足しました。小さな国が集まって戦略的に大国と交渉するために成立したものです。

その結果、関税をかけない自由競争による問題点が露呈しました。

具体的には、人口規模が小さい方、1人あたりのGDPが小さい方が、余剰生産力があり、価格競争力があるため、有利に働くということです。

その結果、人口規模が大きく、1人当たりのGDPが大きい方が、同じ分野で競争に負けてしまうという結果が明確にあらわれました。

以下は、おおまかなものなので、参考程度に見てください。

ニュージーランド:人口が多い、GDPが多い
シンガポール:人口が多い、GDPが多い
ブルネイ:人口が少ない、GDPが多い(石油がある、お金持ち)
チリ:人口が一番多い、GDPが少ない

他との比較で、チリが価格競争力の高い国になります。シンガポールとニュージーランドが食われる側ですが、シンガポールは機械組み立て、金融が中心であり、他と競合しません。

失業率      05   06   07   08   09   10   11
——————————————–
ニュージーランド 3.8  3.8  3.7  4.2  6.0  6.53  6.53
シンガポール   4.1  4.0  3.4  3.5  3.5  2.8  2.7
ブルネイ     3.7  2.7  2.2  2.2  3.0  2.8  2.0
チリ       9.3  7.9  7.0  7.8  10.8  8.2  7.1

失業率の推移を見ると、チリは、リーマンショック後の失業率の増加を「P4」での農産物の輸出拡大で抑えることができましたが、そのすべてがニュージーランドのマイナス分になっているように見えます。

おおまかにいえば、ニュージーランドとチリが農産物で食い合って、ニュージーランドの失業が増加したという結果になっています。

日本はどんな立ち位置になる?

TPP11の中では、日本の1人当たりのGDPが高く、人口も多い国です。農産物以外でも競合する品目が多く、さまざまな業種に影響を与える可能性があります。

それでも、日本が主導してTPP11を推し進めた理由は、独自のルールで身勝手な取引をしようとする中国をけん制し、将来、中国をどの国も共有できるルールの中に組み入れたいためです。

日本は、米国に変わり、他国に開かれた取引の場所を提供するのですから、当然、円建ての決済を増やしていくと考えられます。

2016年4月に作成された資料「対日直接投資推進に向けた取組の現状と課題」を見てください。

TPP関連政策として、日本は、グローバル・ハブ(貿易・投資の国際中核拠点)を目指し、対日直接投資を推進していくとしています。

最後のページには、対日直接投資の現状が出ていますが、GDP比での対日直接投資がほとんど増えていないことがわかります。

今後は、TPPを通じて日本が開かれた市場になり、直接投資を増やしていきます

Next: 競争に負けても、円建て決済が増える? 最終的には日本の利益に

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