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株価崩落をまねくか。「アベノミクス第2ステージ」の致命的欠陥

日銀に引導が渡された可能性も?株価、債券の下落に要注意

コンクリートから人へ資源配分が変わることは国民には聞こえが良いのですが、円安、企業収益増、株高をもたらした異次元緩和が外された分、株式市場にはマイナスです。

金曜日の昼に総理と黒田総裁が会談したことを、市場は追加緩和期待ととって株を買い上げましたが、実際はここで日銀に引導を渡した可能性があります

旧アベノミクスの否定でも、これまでよりも充実した政策で、GDP600兆円のパイが得られるならまだしも、子育て支援、社会保障改革と言う分配政策では潜在成長力は高まらず、そこへ財政から需要を付ければ財政赤字とボトルネックの物価高が残り、国債利回りの上昇、株価下落をもたらす懸念があります。

そもそも、市場が異次元緩和の放棄、円安期待の後退を認識すれば、それ自体が株安材料になり、成長戦略がばらまき戦略に変われば、外国人投資家も日本株を売ってくる可能性があります。

株が下がり、円高になったときに日銀が追加緩和に動いても、支離滅裂ととられ、市場に対してもこれまでの「矢」としての威力は発揮できません。

武器としての威力が期待できない3本の矢を並べて、どうやって600兆円のGDPを実現するのか、政府は説明する必要があります。

恐らく、これまでの「骨太」の財政計画で前提とした実質2%、名目3%成長が続けば、2020年度には597兆円になるので、何もしなくとも600兆円はいける、説明は不要、と考えているのでしょうが、この前提に無理があります。

アベノミクスでの2年半で、GDPは1%しか増えておらず、分配すべきパイは限られています。それも家計の取り分を削って企業に分配して失敗しました。そのつけを払うために、家計を元気にしようと言うのですが、その財源をどこから持ってくるのか。

企業利益から回収すれば株を下げ、国債増発なら財政を圧迫し、増税なら個人が元気になりません。

先の「3本の矢」は家計を圧迫して株価を上げましたが、「新3本の矢」は市場を圧迫する形で家計のご機嫌取りをすることになります。600兆円のGDPを創出する力はありません。

あとは2020年の東京オリンピックに向けて、民間が盛り上がってくれるのを期待するしかありません。しばらくは株価下落、債券相場下落に要注意です。

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マンさんの経済あらかると』(2015年9月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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