1ヶ月ほど前に、バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイ社の決算の中で、多くの株式を売却しているということが判明しました。そして、8月5日には日本市場をはじめ世界中で大暴落が起きました。バフェットはその前に株を売って現金を確保していたということになります。株式市場に不穏な空気を感じている方も多いのではないでしょうか。 今回はバフェットの動きを振り返るとともに、私たちが個人投資家としてどのように動くべきかを考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
現金残高が過去最高
まず、バフェットがどんな株を売っているかということについてです。
元々、バフェットのバークシャー・ハサウェイのポートフォリオとしては、半分以上がAppleで、一般的に言えばいびつなものでした。
これは、Appleに集中投資してきたというよりは、Appleが成長して株価が上がり、結果としてポートフォリオに占める割合が大きくなったということです。
バフェットは一度買った株をほとんど売らない傾向があり、Appleに関しては10年近く持ち続けてぐんぐん伸ばしてきました。
今回、Appleに限らず、バンク・オブ・アメリカなどいくつかの銘柄を売っていますが、売ったからといって別の銘柄を買っているというわけではありません。
現金の残高は過去最高の約40兆円となっています。
投資の神様であるバフェットが株を売って現金を持っているということで、何か大きなことが起こるのではないかと思えてしまいます。
バフェットの投資
バフェットの投資を改めて振り返ってみたいと思います。
基本的には「良い企業を買う」ということです。
Appleの事例でもあったように、良いと思った企業は少し上がったからといって売ることはしません。
企業が成長するにしたがって株価も伸びるはずなので、ずっと持っていようということです。
「理想の保有期間は永久である」
Appleの保有期間はまだそこまで長くないですが、例えばコカ・コーラは1987年くらいから保有し続けています。
コカ・コーラの株価はバフェットが買ってから順調に伸び続けています。
良い銘柄であれば、持ち続けているだけで資産が増えていくということです。
さらに保有期間が長いのがアメリカン・エクスプレスで、1960年くらいから保有しています。その時から株価はなんと50倍にもなっています。
バフェットの投資のもう一つの特徴が、「安い時に買う」ということです。
「多くの人が恐れている時に買い、貪欲な時こそ慎重になるべきだ。」
リーマンショックの時には、次に金融機関が破綻してしまったら大変なことになるというところでゴールドマン・サックスに出資をして本当の危機を免れたという逸話もあります。
逆に、ITバブルの時には誰もがインターネット革命に期待してIT銘柄をとにかく買っていましたが、バフェットはそれに乗らず、一時は時代遅れとも言われたものの、その後のITバブル崩壊で損失を被ることはありませんでした。
バフェットはITそのものがダメと言っていたわけではなく、自分が理解できないものは買わないということです。現にAppleの株は買っていて資産を伸ばしています。
原則としては、自分が理解できて、それが良いものだと思ったら買って持ち続けるということで、その買うタイミングは、できれば市場が悲観的になっている時だということです。