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アメリカの老舗百貨店「シアーズ」の破産申請にみる、小売業が抱える問題とは

アメリカの小売り最大手として名を馳せた創業100年を誇る百貨店、シアーズの破産申請にさまざまな問題が報道されています。その背景について解説します。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年12月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

シアーズの破産申請にまつわるトラブルあれこれ

リフォームビジネス事業部を誰も買ってくれない

シアーズ(Sears)の破産申請(会社更生法)適用後の動きを紹介します。切り売りをして、何とか資金を調達して、会社を延命させようとしているのでしょう。

以下は、シアーズのリフォームビジネス部門の売却が計画通りに進んでいないとの報道です。

ニューヨーク南部地域の米国破産審査地方裁判所は12月12日、シアーズ(Sears)社のリフォームビジネスの競売を入札者が出てこないと言う理由で撤回した。

当初は「仮の当て馬」入札者であるService.com社に譲渡されると予想されていたが、それもないようである。

シアーズの納入業者は多額の売掛金を抱えており、支払って貰えるのかを心配している。

総売上高は前年同四半期比で0.833B$も減らして2.7B$となった。
(2017Q3の4.575B$ → 2018Q3の2.742B$)

シアーズの未来は疑わしい。過去、数ヶ月の間に破産手続きの中で少なくとも182店舗を閉鎖すると宣言しながら、他方で営業を継続させながら500店舗ほどを新しい所有者に売却したいと言っているのだ。

そしてSears Holdings社の会長であるEddie Lampert自身が、新しい所有者になりたいと名乗りを上げているのだ。

彼が所有するヘッジファンド、ESL Investments社を通じて、Lampert会長は12月に4.6B$の買値でシアーズの不動産、Kenmoreのブランド、そしてシアーズ自動車サービス社に対して入札している。

その一週間後には、Sears Holdings社は、不動産会社であるJones Lang LaSalle社を雇用している。この不動産会社は、シアーズの店舗を購入して他の小売業者、ショッピングモール所有者等に売却をしており、Burlington Stores社、Dick’s Sporting Goods社、U-Haul社等からも高い関心が寄せられている。

出典:Court cancels auction of Sears home improvement business(12月14日)

まず最低額の「仮の当て馬」入札者に登場してもって、この入札者が希望最低額を示す。そして公開入札が行われる。そこで複数の入札者が登場し、競争入札が行われ最高額の入札者が落札する。その場合、当て馬入札者には礼金が支払われるので、全員ハッピーになるはずだった。

ところが、誰も入札会場に現われなかったのだろう。裁判所としては、撤回するのがベストと判断したようである。

そこで誰も欲しがらなくなったシアーズから、最近発表された2018年の第3四半期の業績データを見ましょう。

単位はM$

単位はM$

(ア):見ての通り、青色棒グラフは総売上高(2017年の9ヶ月間と2018年の9ヶ月間)は、12.0B$から8.8B$へと30%近く減っています。赤色棒グラフは損失額(2017年の9ヶ月間と2018年の9ヶ月間)です。0.56B$から1.9B$へと3.4倍近く増えています。

(イ):2018年第3四半期の業績レポートのデータの一部です。

Next: 業績不調にもかかわらず、裁判所が賞与を出すことを認可した理由とは…

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