2018年の韓国経済の成長率は2.7%だった。駆け込みで9〜12月に政府支出を増やし、やっとのことで出した数字だ。2019年はさらなる鈍化が予測される。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年1月27日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
頼みの「輸出」も半導体を中心に鈍化は確実。文在寅政権の責任は
政府ドーピングで成長率2.7%
今回は2018年の韓国経済を振り返る。取り上げるのは昨年の成長率なので、古い情報というわけではない。
結論として、昨年の韓国の成長率は2.7%となった。
この数字はなんと、韓国銀行が発表していた成長見通しと同じ結果だ。つまり韓国経済は、韓国銀行の想定内の成長を遂げたことになる(表向きにはだが)。
まず、韓国銀行の最初の成長予測は3%だった。それがどんどん下方修正していって、昨年の10月で2.7%の予測となった。
しかも、これは「政府ドーピング」が入っての数字である。つまり、最終的に帳尻を合わせるために年末に政府が支出を増やしたのだ。
この2.7%という数字は、決して文在寅大統領の言う「韓国の経済指標は悪くない」を言葉通りに受けとれるものではない。
2018年9月~12月の成長率は(政府がひっぱって)1%
昨年の韓国経済の成長率は2.7%だが、この成長をもたらした内訳を見ると、政府の支出が最も多い。サムスン電子が牽引する半導体よりも貢献している。
多い順に並べていくと、以下の通りだ。
・政府消費:5.6%
・半導体輸出:4.0%
・民間消費:2.8%
今回の政府消費は2007年の6.1%に次ぐ、11年ぶりの最高水準だそうだ。
しかも、昨年の9月~12月に1%ほど強引に成長させてようやく2.7%だった。2.7%の成長にしようと、政府は様々な物を買い入れて支出して、ようやく達成した数値なのだ。
そりゃあ、政府が金を使えば成長するだろう。しかし、それだけ財源に影響するので、毎回というわけには行かない。
しかも、韓国政府は物品を購入しただけではない。例えば、建設投資も昨年はひどくマイナスだったのだが、これが最後は1.2%になった。
さらに設備投資も3.8%になった。これも自治体のインフラ事業などの影響で建設投資が増加、政府が輸送装備を購入して設備投資も増えたそうだ。まさに投資を良くしようとするドーピングである。
その反面、民間部門の成長寄与度はマイナス0.3ポイントに落ち込んだ。 どれだけ3ヶ月間の多額の出費で成長率を引き上げたかがよくわかるだろう。
今後の成長に直結する建設投資・設備投資が大きくマイナスに
しかし、建設投資や設備投資も1年のトータルで見ればいくらドーピングしても、マイナス4%、設備投資もマイナス1.7%も減少した。
特に建設投資は1998年の通貨危機以後の20年間で減少幅が最も大きいという。設備投資もリーマン・ショック以降で最も減少が大きい。ドーピングしてなんとか経済成長率2.7%にしたといっても。実際はもっとひどい成績だったわけだ。