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世界恐慌の噂を検証~ドイツ銀行が破綻するとは思えない10の理由=矢口新

ドイツ銀行が破綻するとは思えない10の理由

では、当該記事の要点を再掲し、それぞれを順番に検証していきましょう。

  1. ドイツ銀行の金融取引総額は67兆ユーロと、ドイツのGDPの20倍に匹敵する規模に膨らんでいる
  2. 第3四半期は62億ユーロの赤字が見込まれ、2万3000人の人員削減が実施された
  3. フォルクスワーゲン問題と、ドイツの他社自動車メーカーに及ぼす影響
  4. 難民問題
  5. ドイツの輸出が後退
  6. ドイツの重要な貿易取引相手国である中国の景気後退
  7. 経営難にあるという噂。違法行為。昨年と今年で2人の頭取が辞任を表明
  8. スタンダード&プアーズが今年6月にBBB+に降格
  9. ドイツ銀行がギリシャに融資した資金は不良債権に
  10. いま、ユーロ圏では「ドイツ銀行は健全な銀行とは言えない」という認識が高まりつつある。これは、もはや一触即発、爆弾を抱えているような状況だ。何かが要因となって爆発すると、ヨーロッパそして世界を危機に陥れることになるのは明白だ。リーマン・ブラザーズの比ではない

1. 金融取引総額は残高を意味しませんので、どれほど大きくてもリスクの大きさを表すものではありません。

2. この問題は、超低金利環境下で、どのようにして収益を上げていくかという銀行共通の問題です。当局によるマイナス金利の導入は、銀行の負担により、政府と産業を支える側面を持ちます。国債のマイナス利回りで儲けるのは政府、負担するのは預金者、年金、保険、そして銀行です。預貸金利差で儲ける銀行が、マイナス金利では苦しいのは当然です。

3. 大きな問題ですが、リーマンのように米住宅バブルを引き起こした高レバレッジ問題とは本質的に違います。

4. 欧州委員会よるコメントを引用します。
「ドイツなど最大の難民受け入れ国にとっての財政コストは、15年でGDP比0.20%が見込まれ、16年には0.25%に拡大、20年には0.05%にまで縮小する見通しだ。一方で、16年のGDPを0.43%押し上げる。17年も0.56%の押し上げ効果が見込まれ、20年にはその効果は0.72%に及ぶという。とはいえ、国民一人当たりのGDPは16年に0.60%減り、20年でも0.30%減る計算だ」

5. 世界の貿易は縮小しており、日米中を含め多くの国々は輸出も輸入も減少しています。そんな中で、ドイツは貿易黒字を拡大しています。ちなみに9日発表のドイツ9月の経常収支は251億ユーロの黒字と、8月の修正値133億ユーロの黒字から拡大しました。貿易収支は229億ユーロの黒字で、8月の修正値154億ユーロの黒字から拡大しました。

6. これもドイツ固有の問題とは言えず、また、中国経済は一般に思われているよりも、はるかに強いという観測があります。中国で大きくビジネスを展開している米企業、10数社のコメントを精査したところ、大型建築や鉱業など弱い分野があるものの、中国産業に問題はなく、中国の個人消費は驚くほど健全だとのことでした。(※参照:China’s economy is a lot stronger than you think it is – MarketWatch

11月11日はアリババが設定した「独身者の日」1日限定セールですが、同日の同社の売上げは、たった24時間で912億元(143.2億ドル=1兆7600億円)でした。去年は93億ドルでしたから、前年比5割増以上でした。

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7. これはドイツ銀行固有の問題ではないでしょう。

8. これもドイツ銀行固有の問題ではないでしょう。BBB+はまだ投資適格なので、スタンダード&プアーズは潰れるとは見ていないことになります。その下にBBBがあり、BBB-が投資適格の下限。BB+以下になるとジャンクとなります。

9. 「ドイツ銀行がギリシャに融資した資金は不良債権に」。その一方で、ギリシャからの預金流出の相当量がドイツ銀行に流れていると見られ、ギリシャ人がドイツに対して怒っているように、対ギリシャとの収支決算ではドイツ銀行の大幅プラスだと思います。

10. リーマン・ブラザーズは高レバレッジ体質でした。その後、ボルカールールなどで銀行のレバレッジの縮小が続いています。前述の「大き過ぎて潰せない」銀行への新規制でも、換金可能な資金の確保が要求されるということです。

このように、当該記事で指摘されている問題点を見る限り、私にはドイツ銀行が特に危ないとは思えません。もっとも、多くの金融機関が問題を抱えているように、世界的に経済政策が機能しているとは言い難いのですが、それはまた別問題です。ご質問への私の見方は以上です。

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相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2015年11月12日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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