テロリストも所詮は「人の子」不安を抱えている
2つ目は、ISのテロリストたちも必死であるということ。
「自爆テロするんだから当たり前だろ」という突っ込みはごもっともなのですが、彼らも所詮は「人の子」なのですから、いざ実行するまでにアジトがバレて警察に踏み込まれたり、現場で自爆する前に射殺されるなどして、自分の命を無駄にすることは我慢できないわけです。
つまり彼らも「命をかけている」わけですから、とっても不安。
だからこそ冒頭で紹介したような「ご相談窓口」への需要が出てくるのであり、本部のIS側もそれに応えようとして(CIAやNSAにバレる危険をおかしながら)爆弾の作り方を教えたり、他のイスラム教徒をISの教義に共感させて巻き込むような扇動の仕方を、わざわざオンラインで親切丁寧に教えてあげたりするわけです。
クラウゼヴィッツは戦争を「決闘である」と表現しております。
そしてここで重要なのは、テロによって「決闘」を申し込んできたISというテロリストたちも、我々と同じように不安を抱えながら犯行を実行する、弱さをもった人間であるということです。
テロリストたちはたしかに悪魔的な行為をしております。ただし彼らも我々と同じ「摩擦」(フリクション)に取り囲まれた人間です。
スーパーマンでも悪魔でもないのです。
そしてその違いは、戦略の階層の最上階に位置する「世界観」にあるのです。
彼らが人間であるという当たり前の想定……戦略を考える際に、我々はこの単純な事実を決して忘れてはなりません。
『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』(2015年11月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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