fbpx

医療業界のIT化をけん引するエムスリーは、成長とともに株価も伸びていくのか?=栫井駿介

クラウド化で注目される電子カルテ分野

事業拡大がこれだけにとどまることはないでしょう。私が特に注目しているのが電子カルテ分野です。

電子カルテはいくつかの企業が手がけているようですが、どこもあまりパッとしません。使い勝手やほかのソフトウエアとの互換性などが問題になっているようです。ベンダーの顔ぶれを見ても、使い勝手の悪さで悪名高い公的サービスと似た印象を受けます。

image3


【出典】Healthcare Compass

このようなサービスは、病院で言えば受付から診断、データの保管、会計などあらゆるシステムが連動して動くようにしなければ、「タコツボ化」を免れないでしょう。現在の電子カルテ業界は、まさにその状況に陥っているように見えます。

このような状況に一石を投じる可能性があるのがクラウド化です。IT業界ではクラウド化が叫ばれて久しいですが、医療も例外ではないと思います。

クラウドは導入費用や手間がかからず、インターネットにさえつながっていれば、定額費用を払うだけですぐに利用できます。ソフトウエアも自動的にアップデートされるため、メンテナンスが必要ありません。大規模なソフトウエアは、ほとんどがクラウドに置き換わっていくでしょう

この点に関して、エムスリーも抜け目がありません。2012年にはシィ・エム・エスを子会社化し、さらに電子カルテ事業への参入を果たし、クラウド型電子カルテ「デジカル」の展開を手がけています。クラウド型電子カルテでは、すでにシェアNo.1だそうです。

病院経営は共通事項が多く、クラウド型の電子カルテはプラットフォームになり得ます。将来的には異なる病院間でも、クラウドで一瞬にしてカルテの共有が可能になるかもしれません。

エムスリーは絶好の立ち位置と能力、さらには財務的な余力からこの分野も制する可能性があります。電子カルテへの本格参入により、いよいよ医療の本丸に切り込むことも夢ではなくなるでしょう

Next: エムスリーはいま買うべき銘柄なのか?

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー