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パクリ商法を封じても中国は潰れない。今後、ファーウェイほか中国企業が技術覇権を握るワケ=高島康司

背後にある中国の経済力

そのような状況になっている背景のひとつは、中国の経済力である。その代表的な例は、イギリスである。

中国最大の金持ちのひとりに、李嘉誠(レイ・カーセン)という人物がいる。彼は香港最大の企業集団・長江実業グループ創設者兼会長である。2013年度の世界長者番付によれば、その資産は310億ドルとされ、世界8位の富豪である。長年、中国人としては世界最大の資産家であった。

いまイギリスは、3月末にも期限がやってくるEU離脱の余波で経済が低迷しつつある。EU諸国との間で関税が復活することを恐れ、EUを主要な市場にしている国々の企業の撤退が後を絶たない。最近では現地工場を持つ「HONDA」が撤退を決めた。イギリス経済の見通しは決して明るいものではない。

そのような状況のイギリスで、李嘉誠の「長江実業」とその傘下の多国籍企業、「ハチソン・ワンポア(和記黄埔)」は莫大な投資をし続けてきた。中国では「イギリスの半分は李嘉誠が掌握している」とも報道されるくらいだ。

現在イギリスの35%以上の天然ガス、30%以上の電力は李嘉誠の手中にあり、イギリス経済は李嘉誠がどう動くかによって決まっていくと言っても過言ではないほど影響力が強い。イギリスの通信大手で、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで使える格安SIMで有名な「Three UK」は、「長和電信」のイギリス法人で李嘉誠の会社だ。「Three UK」は、「ファーウェイ」との間で20億ポンドの通信ネットワークの契約を結んでいる。さらに「ファーウェイ」に200億人民元を投資して、同社の5Gのシステム購買契約を済ませている。

こうした状況なので、イギリスがトランプ政権の要請だったとしても、「ファーウェイ」を排除することは難しかった。

ここまでではないにしても、特にドイツなどのヨーロッパ諸国は中国に対する経済的な依存度が高いので、「ファーウェイ」の排除には踏み切ることができない。

これから、カナダやオーストラリアなどの他の「ファイブ・アイ」諸国でも、同じような動きが拡大する可能性がある。そうすると、中国がテクノロジー覇権の争いで一歩先んじることにもなる。

なぜ中国のテクノロジーは急速に発展したのか?

このように、テクノロジー覇権をめぐる中国の強さの背景には、中国の巨大な経済力の影響があることは間違いない。

しかし、それにしても、なぜ中国のテクノロジーがこれほど急速に発展したのだろうか?もちろん、テクノロジーの発展には巨額の投資が必要だ。それには経済力がものをいう。しかし、それだけが理由なのだろうか?

Next: 本当に知的財産の盗用だけが成長要因か?中国が今後も伸びる理由

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