亡くなった方の戸籍を出生時までさかのぼって確認が必要
現在の戸籍のルールでは、子どもは結婚をすると親の戸籍からは抜けていきます。他にもさまざまな理由で、子は親の戸籍から抜けていくわけです。
戸籍から抜けてすぐは、「除籍」という表示とともに名前は残ります。(昔の戸籍では、「×」印がつけられました。)
しかし、その後転籍をしたり、戸籍のルールが変わったりして戸籍謄本が新しくなると、既に抜けた子供の名前は、新しい戸籍謄本には載ってこないのです。
そのため、一番新しい戸籍だけを見ても「子供が何人いたのか」ということは実はわかりません。
前述のように、相続では「誰が相続人なのか」はとても重要です。
そのため、亡くなった方の戸籍を生まれたときの分まで遡ることで、「本当に、ほかに子供はいないのか」を見ていくわけです。
これが、相続手続きで出生まで遡る戸籍や除籍が必要になる理由です。
子どもであれば、原則としてすべて相続人になります。
そのため、もちろん他家へ嫁いだ子も相続人であることに変わりありませんし、離婚した相手が親権をもち、自分とは何十年も会っていない子であっても相続人です。
現在の自分の戸籍謄本に載っていないからといって、そういった子を無視して相続の手続きを進めることはできません。
仮に隠していたとしても、書類を取得する中でわかってしまいます。
そのため、長年会っていない子がいるなどの懸念がある場合には、遺言書の作成は不可欠なのです。
なぜ出生まで遡る戸籍が必要なのかを正しく知って頂いたうえで、心配なことがある場合には、お元気なうちにきちんと対策をしておきましょう。
『こころをつなぐ、相続のハナシ』(2019年3月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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愛知県の行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジンです。ご家族が亡くなる、ご自身の相続に備えて準備をする。そういった経験は多くの場合、一生に数える程しかありません。だからこそ実際に直面したとき、何から手を付けて良いかわからず戸惑ってしまったり、知らなかったが故に不利益を被ってしまう事が多々あります。このメルマガでは、「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。