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なんのための異次元緩和だったのか?麻生財務相が物価目標2%の柔軟化に言及=久保田博幸

本来、2年で物価目標2%を達成するはずの規制緩和だが、未だに達成されていない。しかし、株価が上がったことで、達成されたと評価される向きが出てきている。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

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日銀の物価目標2%の見直しの方向へ

物価目標2%を達成していないのに、何の効果があったのか

日本商工会議所の三村明夫会頭は7日のインタビューで、日銀が黒田東彦総裁の下で2013年4月から実施している異次元緩和について「非常に効果があった」と評価する一方で、長期化に伴い「弊害もいろいろ出てきている」と指摘。「もうそろそろ2%物価上昇にこだわらない、もう少し柔軟な金融政策をとってほしい」と述べた
※参考:日銀は2%物価目標にこだわらず柔軟な金融政策を-三村日商会頭 – Bloomberg(2019年3月10日配信)

そして、麻生太郎財務相は12日の参院財政金融委員会における共産党の大門実紀史氏への答弁において、日本銀行が達成を目指している2%の物価目標について「もう少し考えを柔軟にやってもおかしくないのではないか」と語った。
※参考:日銀の2%物価目標、麻生財務相「考え方柔軟に」 – 日本経済新聞(2019年3月12日配信)

三村会頭は2013年4月から実施している異次元緩和について「非常に効果があった」と評価しているそうだが、そもそも2013年4月から実施した異次元緩和は2%という物価目標を2年で達成するというものであり、何の効果があったというのであろうか。

日銀の異次元緩和によって日本の雇用が回復し、息の長い景気回復が実現されたというのであれば、それは日銀の掲げた物価目標は達成されずとも、日本経済はどういうわけか回復してきたということになる。

これは手段とその効果の関係からはおかしな見方となる。

日銀の異次元緩和は物価目標達成を掲げたが、その目標は達成しなかった。それでも効果があったと判断される理由を述べよと大学入試の問題で出されたとすれば、どのような解答が得られるであろうか。

また、麻生財務相は「2%と最初に目標に掲げたので、どうしてもそれをやらざるを得ないという形になっている」と指摘。「2%に行っていないからといって怒っている一般庶民がいるか、私の知っている範囲では1人もいない」(日経新聞)と語った。

政府が日銀に2%という物価目標を押しつけ、そのために日銀に財政ファイナンスに近い政策を取らせ、そこまでしても結果として物価は日銀の過度な緩和でも動かせなかった。そもそも2%という物価が日本に本当に必要なのか。そう思っている「庶民」は麻生大臣ではないが、ほとんどいないと思う。

Next: 物価目標の2%という数字は、ほんとうに適切なのか?

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