陸送、鉄道とも貨物の輸送量が一気に激減している
さらに、誰の目にも明らかな兆候があります。
それは、鉄道輸送によって全米に出荷されている原材料などの輸送量が劇的に減少しているという事実です。
同じような現象が起こったただひとつの例は、前回の景気後退(2009年)の時でした。以下は、ブルームバーグからの抜粋です。
米国の鉄道貨物の量は、2015年に、この6年の間でもっとも落ち込みました。
そして、事態は新年を迎えても改善の兆しが見えません。バンク・オブ・アメリカの最近の報告書には、「鉄道貨物のデータが、より幅広い経済の警告を示している」とあります。
トラックの陸送は、前年比ベースで、この11週間連続して、どの週も5%以上落ち込んでいます。
一回の陸送の貨物量が減ることは時折、起こるものの、いずれ回復するのが常ですが、実際にこれほどの落ち込みが起こるのは2009年以来のことです。
ケン・ホクスター(Ken Hoexter)が参照しているバンク・オブ・アメリカのアナリストは、過去30年間の推移を見て、この種の急激な低下が米国経済にとって何を意味するのか分析しています。
…残念ながら、彼らが発見したことは励みにならないことでした。
「鉄道貨物と陸送のこの種の落ち込みのすべては、景気減速に先行して現れる」、これが結論です。
これは、厳冬のために落ち込んだ1996年を除外しています。
明らかに景気失速の明確なシグナルは、そここに現れているのです。そして、それは加速化しています。
金融市場から発せられる数々のシグナルは、実体経済に遅れて現れてきますから、現状は、それ以上に悪化していると考えなければならないのです。
しかし、大底に着くまでにはまだ先は長い。長い長い道のりが持っています。
米国市場が歴史的に「妥当な評価である」という水準まで到達するには、市場があと30%程度落ち込む必要があるのです。
これを、「正常化への道のり」と希望をもって受け止めることができる投資家は、ほとんどいないでしょう。
これは、日本も同様です。グローバルで、そして大規模な景気後退が確実に近づいています。
まずは、アベノミクスの幻想をきっぱり捨て去って、できることを準備することです。これからは、長い景気後退に入ります。
今度は、そう簡単に回復しません。何年もの間、下降トレンドが続くのです。
このことは、2014年の春頃から、周囲の人たちには警告し続けてきたので、「あのことだったのか」と合点がいくでしょう。
すべての人たちが、瓦解の現状を理解した頃には、打つ手がなくなってしまうのです。
まだ、ほとんどの人が気が付いていないうちに、決意して着手しなければならないのです。そうすれば、何を警告しても取り合わなかったノーテンキで攻撃的な人々にも、この危機感が多少でも伝わるかもしれません。
『「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年1月14日号パート1)より一部抜粋、再構成
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