1バレル10ドル台も視野に入って来た原油価格
米国の原油は、1月12日、1バレルあたり30ドルを切って29.93ドルまで下落しました。原油が、2003年12月以来、1バレル30ドル以下で取引されたのは初めてのことです。
いうまでもなく、この価格崩壊は、エネルギー関連企業を窒息死させています。以下は、USAトゥデーの記事の抜粋です。
この異常な事態の原因が石油会社にあると考えている人々は、そう多くはいないものの、石油価格の内破は、石油会社に哀れみの感情さえ抱くほどの減益を引き起こしています。
スタンダード・アンド・プアーズ・キャピタルIQから公表されているデータを使ってUSAトゥデーが分析したところ、スタンダード・アンド・プアーズ500種銘柄のエネルギー・セクター企業全体では、年内に288億ドルの損失を出すと予想されています。
この産業に追い風が吹いていた2008年は、954億ドルの純利益を上げていたので、そこから一気に1240億ドルも落ち込むことになります。
この分析は、スタンダード・アンド・プアーズ500種のうち、2008年に純利益を報告した36社のエネルギー企業に関するものです。
大規模な世界的なデフレ危機を回避しようとすれば、原油価格は1バレル当たり50ドルを上回っている必要があるのです。
残念なことに、それは、当分の間、望むべくもないようです。
実際、米ダラス連銀総裁のロバート・カプラン(Robert Kaplan)は、原油価格は、「おそらく長い間、非常に低い価格帯の居座ったままだろう」と述べています。
…ダラス連邦準備銀行総裁が原油価格について語るとき、人々は、少なくとも、それがたとえ芝居であっても、楽観主義を期待したいところでしょう。
人々は、テキサス州のその重要な産業について、望みをつなぐささやか朗報を期待しているのです。しかし、ロバート・カプラン・ダラス連邦準備銀行総裁の月曜日のコメントには、2016年だけでなく、2017年でもなく、おそらく、2018年になってからも、ささやかな希望を見出すものはありませんでした。
カプランの広範囲にわたるスピーチは、原油に関する鈍い動き、原油価格の暗い将来、原油価格の下落によって引き起こされる世界と米国の経済崩壊が、テキサスの石油産業ゆえであることを意味します。
「より多くの破産、合併とリストラ…」。
2014年中頃から始まった石油価格の急落は、上げたり下げたりを繰り返しながら、すでに十分に悪い兆候を示していたのです。
彼は、去年12月のOPEC総会以来、このように述べました。
「石油と天然ガスセクターの全体的な雰囲気は悪化しています。
原油価格の展望は、“より安く、より長く”に予想を転換しました」。
原油価格が下げ止まる兆候は、今のところ見えていません。
それどころか、さらに価格は崩れ、1バレル10ドル台の可能性もささやかれ始めました。市場関係者は、これを「最後の審判の日がやってくる」と言っています。