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表に出せない中国の厄介な問題~習政権に入り込んだイスラエルのモサド

中国が苦しみ、世界にばらまかれるデフレ圧力の正体

つまり、成長期待が急速に低下すると、それに合わせたストックの調整によって、設備投資というフローの数字が加速度的に大きくなったり小さくなったりします。中国が14%成長から7%成長に落とす過程では、設備(純)投資は、増加率ではなく絶対額が半分になる必要があります。つまり、投資額は50%減で良いことになります。

ところが、昨年の中国のGDPは6.9%に減速したのに、固定資産投資は10.0%の増加となりました。増加率は確かに減速していますが、絶対投資額が昨年より10%も大きいために、生産設備の伸びは相変わらず10%以上の高成長に見合った増加を続けている可能性があります。

需要が7%以下なのに、設備が10%以上のペースで拡大を続ければ、一層供給過剰が広がります。

これが中国にとって大きなデフレ圧力になっており、現に生産者物価が46か月連続の下落を続け、その歯止めもかかっていません。

最近では在庫の置き場がないほど在庫が積みあがっていると言います。同時に世界に鉄鋼など供給過剰の製品を安く輸出し、世界にデフレをばらまいています。輸出圧力がかかり、輸入を抑制すれば貿易黒字が高まります。

さりとて、供給力を抑えるために設備投資を半分にすれば、GDPが2ケタのマイナス成長となって、社会不安、政治不安が高まります。いっぺんに調整できないまでも、せめて設備投資の伸びをゼロにして、その間個人消費や輸出で稼ぐしかありません。

今の中国GDPは、成長を維持したいのか、固定資産投資の調整ができておらず、不均衡がますます拡大する状況です。

もう1つの大問題、習政権に入り込んだイスラエルのモサド

次に表に出せない難題は、西部の新疆ウイグル地区のイスラム系民族と、イスラム国の扱いです。

新疆ウイグルの西側周辺には、トルクメニスタンなど、トルコ系イスラム民族の不安定国家が多数控えています。彼らの多くはスンニ派で、旧ソ連を離れてからは、国家としての統制が十分取れていません。ここにイスラム国のメンバーが多く入り込んでいるようです。

習政権はこのイスラム系民族の扱いに苦慮しています。この少数民族を弾圧すれば、その背後にいるイスラム民族をも敵に回すことになります。イスラム国のテロも予想され、政府もその警戒を強めています。

逆に、その関係を緩和し、資金面で支援をすると、その資金が結果的に背後にいるイスラム国の手にわたる可能性もあります。

更にまた、イスラエルの諜報組織モサドと係わりのある共産党幹部が習政権に入り込んでいます。しかも、日本の官房長官に相当する要職についています。

このモサドがときにイスラム民族を刺激し、あるいは彼らに扮してテロを仕掛けることもあるようです。習政権がこの扱いを誤ると、政権の体制を揺るがすほどの不安定要素になりかねません。

市場は中国指標に一喜一憂しますが、中国の抱える問題は、より厄介で大きな問題ゆえに、一朝一夕には解決できません。

裏を返せば、見た目の安定化、解決策は、一時的なもので、時間をかけてこの困難を切り抜けるしかなく、その間は悪い指標や材料がいつ飛び出してもおかしくありません。

【関連】中国発「逆オイルショック」はこれからが本番だ~高まる世界デフレリスク

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マンさんの経済あらかると』(2016年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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