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ジム・ロジャーズも警鐘 戻り相場の限界点と「3月10日大暴落」説=高島康司

ジム・ロジャーズの警告(1)市場の崩壊について

過去20年間、主要国の中央銀行は利子率を低下させ、通貨を増刷し、不良債権を買い取る量的金融緩和を続けていた。これは大変に間違った政策だ。巨額の債務だけが残った。いずれ誰かがこの債務を支払わなくてはならない。

2016年と2017年はこれが要求される年となるので、市場は大変なことになるだろう。

すでに昨年の末から株式市場は大きく下落するトレンドに入っていた。市場の下げトレンドに入るときは、上がる銘柄よりも下げる銘柄の数が圧倒的に増えるが、すでに昨年の終わりからこのトレンドに入っていた。だから、2016年に入った市場の乱高下は予告されていた。

今回の下げの原因はFRBの利上げではない。利上げは散々喧伝されており、誰もが知っていた。サプライズではまったくない。

FRBは市場が大きく下げると再度量的金融緩和をやる可能性はあるだろう。

ジム・ロジャーズの警告(2)中国について

中国はリーマンショックのとき政府債務はほとんどなかった。しかしながら今回は異なる。中国政府の債務は大きくなっているので、破綻の影響はあるだろう。

一方、中国政府は政府債務の多くをインフラの建設に充当してきた。これは将来の競争力を維持するために必要な条件だ。中国は不動産バブルの崩壊から厳しい状態になるだろうが、政府がただ通貨を増刷してきたような国よりもはるかにましだ。

だが、中国は経済構造の転換の最中だ。これまでのように安い労働力を利点に安い製品を生産する方法は成り立たない。ベトナムやミャンマーなどの東南アジアの国々にその位置が脅かされている。

ジム・ロジャーズの警告(3)ドルと金・銀について

ドルは過剰に評価されている通貨だ。それは、危機に陥るとドルが逃避通貨として好まれ、ドルが買われるからだ。これと反比例して金と銀が売られる。将来、ドルが売られ、金と銀が買われる局面があるだろう。

私は正しい判断でその波に乗りたいが、いまはそのどちらも買ってはいない。

いま銀が最安値を記録している。将来は金よりも銀のほうが激しく上昇する可能性がある。

以上である。要するに、2016年から17年にかけて、主要国が実施していた極端な量的金融緩和による債務の支払いが要求され、危機に陥るはずだという予測だ。

さまざまな警告が出ているが、そのなかでもジム・ロジャーズのこのような警告は比較的に穏健なほうである。もっと強い口調で警告しているのは、かつてリーマンショックを的中させたことで知られるハリー・デントだ。

Next: ハリー・デント「2016年は1931年以来の最悪な年となるだろう」

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