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なぜ日本のシングルマザーは地獄なのか?約123万2,000世帯の半数が貧困=鈴木傾城

娘の制服代が致命傷になった

2014年9月24日、千葉県銚子市の県営住宅に住む母子が賃料滞納のために立ち退きを迫られた。このシングルマザーは長年の生活苦に疲れ果てていた。

家賃の滞納も生活苦から来たものであり、ここを追い出されると彼女は14歳の娘と共に路頭に迷うしかなかった。

そのため、母親は親子心中を思いつき、立ち退きの日に娘の首を絞めて殺し、死んだ娘の側で母親は娘が写っているビデオを無言で見ていた。このビデオが終わったら、彼女は自分も死ぬつもりだった。

しかし、その前に立ち退きの執行官がやってきて、母親は死ねなかった。そんな事件があった。

彼女も離婚によってシングルマザーになっていたのだが、離婚の原因は、夫のめちゃくちゃな経済観念だった。元夫は分かっているだけで600万円近い借金を持っていた。

彼女は自分の親に金を借りて元夫に渡した。それは働いて返してもらう約束をしたのだが、元夫はその約束を守らなかった。結局、このことが原因で別れることになったのだが、夫はその後、カネを返さないまま行方不明になった。

彼女は給食センターのパートで働いていたのだが、月給は平均して11万円程度であった。

その中で、彼女は娘が欲しいというアイドル関連のDVDやデッキや液晶のテレビなどを買い与えていたのだが、親としてなるべく子供に貧困を感じさせないように努力していた形跡が垣間見える。

こうしたものは分割36回ローンでまかなっていたが、もともと月給が少ない彼女にとっては痛い出費だっただろう。

やがて、娘が中学生に上がる頃、娘の制服代が払えずに社会福祉協議会に借り入れをしたのだが、それでも足りずに彼女は関わってはいけないものに関わった。

ヤミ金に足りない金を借りたのである。利息も聞かずに彼女は金を借りた。そうすると毎週1万円を返せと激しく電話がかかってくるようになり、少しでも返済が遅れると脅されるようになってしまった。

このヤミ金にカネを毟り取られ続けて家賃も払えなくなってしまい、そして強制立ち退きの日に娘を殺してしまったのだった。

娘の制服代が致命傷になった悲しいシングルマザーの事件だった。

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