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翔べ!上海総合指数~株価底割れを救った証監会主席の発言(全人代)=田代尚機

李克強首相と証監会トップの発言

ただし、国家隊がいつまでも相場を支えるわけにはいかない。一部の投資家は両会閉会と共に国家隊の買い支えが無くなるのではないかと懸念した。そうした懸念があるから、政治協商会議終了直後の15日、全人代終了の16日に一旦株を売る投資家が増えた。

それを国家隊が買い支えたことで、上海総合指数は形の上で上昇トレンドが保たれ、そうした状況を見て、投資家心理は回復、18日の急騰に繋がった。

李克強首相は全人代終了後の16日午後、定例の記者会見を開いたが、それが終わり退場するところで、華夏時報の記者が“首相、あなたは株式市場の先行きに自信はありますか?”と大声で質問したところ、“あなたが自信を持っているなら、私も自信があります”と答えている。中国市場において、投資家心理の重要性が伝わってくる話である。

1月以降の急落要因はほぼ消滅

今回の両会開催を通じて、1月以降の急落要因はほぼ消滅した。

特に、12日午後に行われた全人代第4回記者会見における証監会(中国証券監督管理委員会)の劉士余主席の発言が効いている。

「はっきりと皆さんに言いたい。中証金(国家隊の中核機関)の市場からの撤退について、私はまだ考えたことはない。今後、比較的長い期間、この点について語るのは時期尚早であろう」などと答えている。また、「今後、市場が完全に勢いを失い、急落するような状況では、果敢に市場救済の手を差し伸べる」と強調している。

証監会トップが自ら相場の下落を抑え、安定的上昇を誘導する考えを示したに等しい。

さらに、「株式発行登録制改革は必ず実行しなければならないが、単独でそれを行うことはできず、多層から成る資本市場の建設、改善、法治環境の改善などが、登録制改革を実行するための条件である」と発言している。

これで、当面の間、株式発行登録制改革は実施されないだろうといった見通しが市場に広く広がった。

海外のマスコミはしきりに中国経済の減速を話題にし、経済のハードランディング危機を強調しているが、本土の投資家でそのように考える投資家は皆無である。少なくとも、ハードランディングを懸念するような投資家は株など買うはずがない。

本土投資家のコンセンサスは政府見解と一致している。「景気減速はコントロールの範囲である。現状では供給側改革を加速する一方で、新規産業の発展を促すといった長期の経済政策をしっかりと実施すべきだ」と考えている。

表現を変えると、本土投資家は政策には敏感だが、景気の細かい動きには無関心である。

政策面では、李克強首相は自ら深セン香港ストックコネクトの年内開始を示唆している。

もう少し大きな視点でいえば、今年は第十三次五カ年計画の初年度である。政策情報は普段の年よりも多く発表されるだろう。

今年の本土相場は長い目で見れば上昇トレンドが出るだろう。

海外の投資家は、本土株式市場が上昇した際はほとんど話題にしない。今週がまさにそうである。上海総合指数は下げた時だけ海外市場の下げ要因とされる。

残念ながら、本土株式市場は構造的に不安定であり、今年も急落局面があるかもしれない。しかし、本土株の急落と中国経済の減速は無関係である可能性が高い。また、共産党、国務院は、実質的に株価の安定を政策目標としている。日本株を含め、中国株以外の株式を取引する際、これらの点をしっかりと意識しておいた方が良いだろう。
(3月19日作成、有料メルマガから一部抜粋)

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中国株投資レッスン』(2016年3月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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