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「クリントン相手ならトランプが勝つ」アメリカ大統領選 票読みの結論=子貢

ヒラリー・クリントンは「自分の選挙にも、身内の選挙にも弱い」

民主党から現状分析しますと、本命のヒラリー・クリントン候補が、泡沫の筈のサンダース候補を振り切れずにいます。

本来ならば、ユダヤ系自称「社会主義者」のサンダース氏が指名を得ることは有り得ないのですが、それでも苦戦しているのは、クリントン候補が「自分の選挙にも、身内の選挙にも弱い」人物だからです。

2008年においても、民主党の大本命はクリントン候補でしたが、当初は無名だったオバマ候補に苦杯を嘗めさせられました。

今年もサンダース候補を(2016年)を突き離せずにいるのは、「自分の選挙に弱い」からです。

また、2010年と2014年の中間選挙でもさしたる活躍を残さず、共和党の躍進を許してますから、「身内の選挙にも強くない」と言わざるを得ません。

民主党の上下両院及び州知事候補者が、目を凝らして視ているのは、果たして大統領候補が自分を勝たせてくれるかどうか、従って党員集会や予備選挙においては、その勝ち負けだけでなく、勝ち方や投票数にも厳しい視線が注がれます。

その肝心の予備選における投票総数ですが、8年前(4年前はオバマ候補の実質的信任投票)と比べても、伸び悩んでいるか、下回っている州すら存在します。

それだけ民主党員にとってクリントン氏は気乗りしない候補、民主党の支持基盤は黒人、ヒスパニック、白人系低所得者層、それに労働組合ですが、黒人層から圧倒的支持を受けている同氏の現状を裏返せば、それ以外の層からの支持が希薄であることがうかがえます。

言い換えれば、「あまり頼りにならない大統領候補」と言うのが、クリントン氏に押されつつある烙印なのです。

忠実な「信者」を抱える、共和党ドナルド・トランプ候補

それでも民主党はクリントン候補で最終的に一本化するでしょうが、予断を許さない状況下にあるのが共和党です。

因みに、共和党の正式名称はGrand Old Party(略称GOP)、民主党はDEMと略される場合が多く見受けられます。また、共和党のシンボル・カラーは赤(red)、民主党が青(blue)で、例えば民主党が優勢な州は「ブルー・ステート」と称されます。(共和党なら「レッド・ステート」)

共和党の地盤を、今回の有力政治家の名前と共に列挙しますと、

  • 主流派(白人系中間以上所得者層、ジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事)
  • キリスト教右派(テキサス州選出クルーズ上院議員)
  • 茶会派(ティー・パーティ=減税派、フロリダ州選出ルビオ上院議員)
  • リバタリアン(自由至上主義者、今回は有力候補が見当たらないが、著名人ではグリーンスパン元FRB議長)

因みに、前回(2012年)の共和党大統領候補ロムニー氏は主流派に位置付けられていますが、金持ち=主流派と解釈するならそれで正しいものの、モルモン教徒ですから宗教的観点から言えば傍流(異端)です。

こうしてみると、今話題のトランプ氏の支持基盤が見当たらないのではないかとの疑問が浮かんできますが、民主党も共和党も見逃している層があります。

プア・ホワイト(白人系低所得者層)ヒスパニック(中南米系移民)です。

日本も米国も事情は同じで、「労働貴族」と呼ばれる一握りの上層部が、労働組合全体を仕切っています。

連中には、楽して暮らせる結構なご身分が保障されていますが、首切りの対象になるのは常にその他大勢、正規より不正規雇用の方が不安定なのも同様で、しかも組合(労働貴族)が自分達を護ってくれないのを、身に沁みて感じているのが、この階層です。

ヒスパニックも良く似た境遇で、ですからプア・ホワイトとヒスパニックは職を巡って取り合う関係にありますが、両者には共通の敵が存在します。

後からやって来る不法移民です。

新参者ほど、悪い就労条件でも請けますから、プア・ホワイトと先に住み着いたヒスパニックは、失業したくなければ、不利な雇用条件を甘受せざるを得ません。

不法移民流入の根絶を訴えるトランプ候補の人気が衰えない理由も、この辺りにあります。

留意すべきは、支持者の候補に対する「思い入れが強いか」、トランプ氏支持者の意志は強固で、おそらく同氏が共和党大統領候補に選出されなかった場合、本選挙では棄権するか、或いは民主党に回帰するでしょう。

要はトランプ支持者は、「トランプ氏に忠実」であって、共和党には必ずしも忠実ではなく、ここでは仮に「トランプ信者」と呼ぶことにします。

ここで黙っていないのが、同党の上下両院及び州知事候補。予備選挙や党員集会で投票数が飛躍的に伸びたのは、ひとえにトランプ氏のお蔭であると痛感しているのは、他ならぬこれらの面々、同時に同氏以外の人物が大統領候補に選ばれた場合の、「トランプ信者」の投票行動の変化にも神経質にならざるを得ません。

「クリントン・キラー」のトランプ

従って、トランプ氏以外ならヒラリー・クリントン大統領の誕生間違いなし、ですがトランプ候補なら事情が異なってきます。

最終的にトランプ氏が共和党統一候補に選出されると考える根拠も、同党幹部がそこまで愚かではないとの前提に立っての仮説で、共和党の派閥の領袖は、「密室政治でトランプ氏を引きずり降ろして、本選挙に敗北するか」、それとも「トランプ氏に頭を下げて、勝機を見い出すか」の瀬戸際に立たされているとも言えます。

翻って、トランプ氏が指名を獲得するには、一部の派閥と妥協しないこと、具体的には副大統領候補で既存勢力出身者を避けることが不可欠、支持者を失望させる言動は極力避けねばなりません。

「秘密兵器」と言われる長女(イヴァンカさん)が、副大統領候補に適任ではないかと秘かに考える次第です。

Next: 民主党クリントン vs. 共和党トランプ 選挙戦シミュレーション

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