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さすが日経新聞?2020年元旦の予測的中、なぜ企業成長の方程式は崩れたか=山田健彦

高PBR銘柄がスポットライトを浴びた

ところでこのようなIT主体の企業は大掛かりな工場や機械設備を必要としないので、有形固定資産が少なく、PBR(株価純資産倍率)がかなり高くなるのが特徴です。

日経でも「米アップルなど世界の大手10社のデジタル事業の市場評価額は約6兆ドルと、全ての日本企業の有形固定資産(金融除く、約5兆ドル)を2割上回る」と報じています。

つまり投資の尺度の1つとして有効と考えられてきたPBRは、今ではそれほど有効ではなくなってきているのです。

今年はまさにそのような高PBR企業の代表であるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)と呼ばれる巨大IT企業が株式市場でも実体経済でも高く評価された年でした。

こうした高PBR企業隆盛の流れは「世界の高中所得国では3億人超の製造業雇用が今後8年間で約1割消える見通し」「こうした富の偏りが成長を鈍らせ、極端な金利低下をもたらす」という結果をもたらしましたが、これも元旦の日経新聞が喝破していたことです。

ちなみに以前もご紹介した「バフェット・コード」でPBR30倍以上で検索してみると29銘柄がマッチングしましたが、すべてではありませんが、ほとんどの銘柄は株価が綺麗に上昇しています。

ただ、これらの銘柄はすでにかなり高値圏で取引されているので、すぐに飛びつくのは考えものです。

PBR10倍以上かつ20倍以下で売上成長率が3期連続で対前年比10%以上など他の条件も付けて投資候補を検討してみるのも良いと思います。

良い企業の定義が変わってきた

元旦の日経の記事に話を戻すと「企業は株主の利益最大化を図るのが使命」という考え方も修正が見られる、としてスウェーデンのイケヤが温暖化ガスの排出より吸収の方が多い企業に2030年までになる、と宣言し「企業の使命」が変わってきたことも日経は紹介しています。

ESG的企業(環境・社会・ガバナンス重視)が社会からも株主からも支持されるようになるのでは、と経営陣の意識が変わってきたようです。

どこの業界も各社で似たような製品を作っていて価格競争の蟻地獄に陥っている中、株主からも支持してもらい、顧客からも「同じものを買うのだったらESGを強く意識しているこの会社の製品を買いたい」と思ってもらえるためにも、ESG重視の経営は重要になってきています。

ESG重視の会社は我が国ではファーストリテイリングが有名です。この会社は商品生産を委託している海外企業の工場現場での労働環境等にまで目を光らせています。

アメリカではダントツにウォルト・ディズニーです。ディズニーとライセンス契約を結んで、例えば赤ちゃん向けのミッキーのぬいぐるみを生産しようとすると、原材料に有害物質が含まれていないか、生産現場で過酷な労働が強いられていないか、完成物の検査体制など事細かにチェックが入り、事故などでディズニーのブランドに傷がつかないようライセンシー業者をチェックしています。

「ディズニーとライセンス契約を結ぶと、経理以外の部署はすべてディズニーに乗っ取られたような感じで事細かなチェックが入ってくる」と言われています。

何をもってESG的に優れた企業か、を数値的、客観的に評価するのは難しいので、しばらくの間はメディアの報道などで判断するしかないでしょう。

直近、菅政権が「脱炭素支援2兆円基金」構想を打ち出しました。これはESGのE(環境)関連ですが、EV、全固体電池、水素電池、パワー半導体、洋上風力発電などこの「脱炭素化」を支えるサブテーマは要注目です。どのような銘柄があるのかは「株探(かぶたん)」などで検索してみてください。

Next: 第三次世界大戦の瀬戸際?元旦の日経新聞は「対中問題」にも言及

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