今年も大晦日に放送される『NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表されましたが、巷ではツイッターで「#紅白見ない」というハッシュタグまで出回る始末。例年とはかなり異なる視聴者の反応が目立つようになっています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
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ツイッターでは「#紅白見ない」というハッシュタグまで出回る始末
今年も大晦日に放送される『NHK紅白歌合戦』の出場歌手が16日に発表されました。
紅白合わせて42組に加え、白組でも紅組でもない特別枠として氷川きよしさんが出場するという、まさにLGBT社会を強く意識させられるような選択になっています。
ところが、巷ではツイッターで「#紅白見ない」というハッシュタグまで出回る始末。例年とはかなり異なる視聴者の反応が目立つようになっています。
個人的には紅白歌合戦などすでに四半世紀観ていませんし、2011年の東日本大震災以降テレビはほとんど視聴しなくなっていますので、誰が出場しようがまったく興味はありません。
とはいえ、今年に関してはとりたててネットがざわついているので、今回はこの件について語ってみたいと思います。
80年代後半まで「歌番組」はNHK・民放の定番キラーコンテンツだったが…
平成・令和生まれの若い人たちはまったく想像できないと思われますが、高度成長期から80代後半のバブルの最盛期あたりまでは、NHK・民放を問わずゴールデン・プライムタイムのコンテンツとしては「歌番組」が長きに渡って重要な役割を果たして視聴率を稼ぐものとなってきました。
1週間の番組表を見ますと、各局ともにベストテン番組や歌番組を取りそろえており、どの番組も相当な視聴率を稼ぐというドル箱になっていたものです。
したがって、どの歌手が年末レコード大賞をとり、その後すぐに始まるNHK紅白歌合戦に誰がどのヒット曲を披露するかということが、今ではおよそ考えられないような国民の一大関心事であったことが思い出されます。
したがって当時のNHKも人気歌手をうまく選出させれば確実に視聴率を確保することができ、当該時間帯のテレビ視聴者の実に8割近くをいとも簡単に確保できる時代が長く続きました。
しかりドーナツ版のレコードからシングルCDへと移行したあたりから本邦国内での音楽CDセールスは大きく伸び悩むようになり、ベストテン番組というのはテレビでもラジオでも成立しなくなっていきます。
それとともに「アイドル歌手」という存在も姿を消すようになり、1997年にモーニング娘が登場し、その後AKB48のようなそれまでの形を大きく異なるアイドルグループが出現するまでは、国内景気と同様にCDの売上は低迷することとなります。
当然、テレビのコンテンツから歌番組はほぼ消滅。足もとで見ても、テレビ朝日の『ミュージックステーション』が辛うじて昔からの番組スタイルを継承している状況です。