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株価ピークから半減「ヤクルト」今が買い時?日本市場も海外も窮地…長期投資家が注視すべきリスクと将来性=元村浩之

今回はヤクルト<2267>の最新情報についてお届けします。ヤクルトについては、今年の7月にも取り上げましたが、今回は11月14日に発表された決算と下方修正を受けてのアップデートとして解説します。

ご存知の通り、ヤクルトの株価は2023年のピーク時(5月頃)からほぼ半値となっています。7月の解説時以降も株価は低調な状態が続いていましたが、11月に入ってようやく底打ちの兆候が見えた矢先に、今回の下方修正が発表されました。

ヤクルトの今後の回復を期待していた方、あるいは「天下のヤクルトだから大丈夫」と買い増しや新規投資を検討している方もいらっしゃるかと思います。この決算を深掘りし、足元のヤクルトの状況、そしてこれからの展望について詳しく解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)

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プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。

ヤクルト株価の推移と最新の動向

<株価はピークから半値へ、下方修正で再び下落>

ヤクルトの株価は、2023年5月頃に5,000円を超える水準でピークをつけました。その後はずるずると下落し、足元では一時2,500円を割る状況まで到達していました。

ヤクルト<2267> 週足(SBI証券提供)

ヤクルト<2267> 週足(SBI証券提供)

11月に入り、株価は一時2,300円から2,700円まで上昇し、ようやく底打ちを示したかに見えましたが、このタイミングで11月14日に決算が発表され、下方修正が行われました。その結果、撮影時点では再び2,500円中頃まで株価が下がってしまっています。

業績の推移:売上は堅調だが利益が落ち込み

<コロナ禍の最高潮から利益水準が低下>

ヤクルトは直近20年間で見ると、一時的に落ち込む時期もありながら、中長期的には売上・利益ともに伸ばしてきた企業です。特にコロナ禍においては、「ヤクルト1000」などの大ヒットもあり、売上・利益ともに最頂を記録しました。

しかし、2024年3月期以降、利益が落ち込みを見せています。

売上ベースで見れば、いまだにコロナ前の水準よりも大きくはなっているものの、営業利益ベースではコロナ前の水準に近づいてきているという状況にあります。

<地域別業績:米州が国内とアジア・オセアニアの減少を支える構図>

地域別の業績を見ると、以下の特徴が明らかになりました。

1. 日本(主力市場):

  • ヤクルト1000のヒットで売上規模は大きくなった。
  • しかし、2025年3月期は利益ベースでピーク時から下落しています。

2. アジア・オセアニア地域:

  • 長きにわたって利益が減少している状況です。

3. 米州地域(米国、メキシコ、ブラジル):

  • この地域は現在も伸びてきている

現状は、国内とアジア・オセアニアの減少分を、米州が支えているという構図になっています。

中間決算の詳細分析:全地域で営業利益が減少

<売上高の増減>

前年の中間期と比較すると、為替の影響もあり、全地域で売上規模が減少しています。

  • 国内:51億円減
  • 海外:米州で58億円減、アジア・オセアニアで21億円減

ただし、海外に関しては為替の影響が大きいため、現地通貨ベースでは売上規模は伸びているとされています。

<営業利益の増減>

営業利益については、残念ながら全地域で減少しています。

米州とアジア・オセアニアは、為替の影響を除外して見ても、実質的に利益が下がっていることが分かります。

Next: 日本市場はもっと深刻?ヤクルトに復活の道はあるか

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