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この株高は続く? 「高市トレード2.0」の光と影――沸く市場と冷え込むトランプ政権=斎藤満

高市総理が通常国会冒頭での解散を示唆して以来、株高・円安・金利高が同時進行する「高市トレード2.0」が市場を席巻しています。高支持率を背景に自民党の議席回復が期待される一方で、高市支持と自民党支持の乖離、トランプ政権との関係悪化、円安による国民負担の増大など、懸念材料も浮上しています。市場が好感する「光」の裏に潜む「影」を検証します。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2026年1月14日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

解散総選挙…相場はどう動く?

高市総理が通常国会冒頭で解散する可能性を示唆する報道が出て以来、市場には「高市トレード2.0」ともいうべき動きが強まっています。14日には与党幹部に早期解散の意向を伝えました。株式市場は米国市場が下げても大幅高を続け、為替市場では円安が進み、債券市場では長期金利が一段高となっています。

高い内閣支持率のもとで、高市総理が解散に踏み切れば、来る衆院選で自民党が議席を伸ばし、政権の安定、サナエノミクスの本格稼働が期待され、安定政権となれば中国も日本排除の政策がとりにくくなるとの見方も後押ししています。しかし、高市支持と自民党支持とには乖離もあり、トランプ大統領の高市支持にも不安が見えます。円安長期金利高は米国にも負担です。良い面ばかりではなさそうです。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

23日の冒頭解散を示唆

10日付の読売新聞の報道に続き、奈良での日韓首脳会談を終えた高市総理は通常国会の早い時期の解散を示唆しました。少数与党となった自民党にしてみれば、現在の高い支持率は自民党の議席回復には絶好の追い風で、衆議院で過半数を取り戻す絶好のチャンスと見られます。当初は解散どころではなかったはずでしたが、この高い支持率は高市総理の気持ちを変える大きな要因になったようです。

それでも新年度予算を決める重要な時期にあり、この時期に解散総選挙となれば予算編成に大きな負担となり、経済の再建をうたう高市政権の意に沿わない面もあります。しかし、このチャンスを逃せば、議席回復のチャンスがいつ訪れるかわかりません。安定政権となれば、対米、対中外交にもプラスになるだけに、予算編成の遅れには目をつぶる模様です。

高市トレード再開

読売新聞の記事が流れた9日のニューヨーク市場では日経先物が一気に2,000円近く急騰、現物株も14日には日経平均が5万4,000円を超えました。ドル円は一時159円台まで円安が進みました。高い内閣支持率のもとで解散総選挙となれば、自民党が議席を回復し、高市政策が本格稼働するとの見方が広がったためです。「高市トレード2.0」のゴングが鳴りました。

つまり、積極財政で設備投資を中心に需要が追加され、金融政策にも緩和継続の圧力がかかると見ています。低金利で財政赤字拡大となれば、株にはプラスでも債券は売られます。10年国債利回りは14日には一時2.187%を付けました。そして日銀には圧力がかかり続け、利上げは難しくなると見られています。これが円安にもつながりました。

また一時は日中関係の悪化、中国人旅行者の減少、中国によるレアアースなどの輸出停止を受けて、中国依存の高い企業やインバウンド依存型産業、レアアースを使う自動車などの業界の株が売られました。しかし、高市政権が選挙で安定化すれば、中国や米国の出方も変わり、外交的にも有利になる面があり、中国関連株の下げも一服、自動車株は大きく反発しています。

また高市トレードの中でも、日銀の利上げが難しくなると見られ唯一ネガティブな要素が意識された金融株も、むしろ長期金利の上昇で長短金利差が拡大し、銀行の利ザヤ拡大につながるために、こちらも大きく株高に動いています。株式市場にはAI関連や「高市銘柄」を中心に追い風が吹いています。

しかし、解散総選挙に期待が高まる一方で、「光」の面ばかりでなく、「影」の面も意識しておく必要がありそうです。特に以下の2点が気になります。

Next: 選挙後はどうなっている?「高市トレード2.0」には負の側面も…

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