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ULSグループ:「発注側DXコンサルティング」で高付加価値領域を確立、AI駆動開発を新たな成長ドライバーへ

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ULSグループ<3798>は、DXコンサルティングを中核とするITサービス企業であり、企業の次世代ビジネスやデジタルシステム投資の上流工程に深く関与する「発注側支援」を特徴とする。企業の経営陣や情報システム部門とチームを組み、数十億円から三桁億円規模に及ぶシステム投資プロジェクトにおいて、構想策定から要件定義、設計、ベンダーコントロールまでを担う。売上のほぼ全てがコンサルティングによるものであり、グループの中核子会社であるULSコンサルティングが大手企業向けDX案件を担い、ピースミール・テクノロジーが公共分野を中心に展開、アークウェイはULSコンサルティングと連携しコンサルティングを行うなど、複数の専門会社を束ねる体制となっている。顧客はパソナ、マツダ、電通、前田建設、全日本空輸などの大企業が中心であり、数千億円規模の上場企業や業界をリードする先進企業のDXプロジェクトばかりで、幅広いセグメントの新規顧客からの引き合いニーズも旺盛、高い顧客満足で既存顧客からのリピートも堅調である。

同社の競争優位は、ITコンサルティングとエンジニアリングを兼ね備えた人材による実行力にある。一般的なコンサルティング企業が戦略や構想の提示に留まるケースが多いのに対し、ULSグループのコンサルタントは全員がエンジニアリング経験を持ち、システム構築の実務を理解したうえでプロジェクトをリードする点が特徴である。顧客からの評価も高く、売上の約9割が既存顧客からのリピートによるものであり、売上上位5社で全体の約4割を占めるなど長期的なパートナー関係を構築している。顧客企業の多くはITを事業競争力の中核に据える企業であり、DXによるビジネス変革を本気で推進する企業であることから、同社のような上流から実装まで伴走できるコンサルティング会社への需要が高い。

業績面ではDX投資の拡大を背景に高成長が続いている。2026年3月期第3四半期業績は、売上高12,312百万円(前年同期比30.0%増)、営業利益2,561百万円(同15.7%増)で着地した。サービス、情報通信、金融、自治体及び製造等を中心とする既存顧客からの旺盛な需要が継続したこと、新規顧客からの需要が着実に増えていること、またコンサルタントの採用活動が概ね順調に推移したことが主な要因となる。事業拡大に向けて人材採用を2023年3月期から積極的に進めており、従来年間20~30名程度だった採用規模を、2024年3月期では前期末比で108名純増(同25.7%増)の増員となった。企業の基幹システム構築経験を持つ大手SIerの中堅エンジニアなどを中心に採用を進めている。ただ、IT人材市場は足元で極めて過熱しており、採用コストは従来比で大きく上昇している状況にあるようだ。通期計画は、売上高15,900百万円(前期比20.4%増)、営業利益3,100百万円(同18.2%増)を見込んでいる。

市場環境を見ると、日本企業のDX投資は依然として拡大基調にあり、特に基幹システムの刷新やクラウド化などの大型プロジェクトは今後も増加が見込まれる。ULSグループが担う発注側支援は、企業がベンダー任せのシステム開発から脱却し、自社主導でIT投資を進める流れの中で重要性が高まっている領域である。顧客企業の経営陣や情報システム部門と直接連携し、ベンダー選定やプロジェクト管理を行う役割は、DXプロジェクトの成功確率を高めるうえで不可欠であり、同社の専門性が評価される背景となっている。また、公共分野でもDX需要が拡大しており、札幌市、東京都、横浜市などの自治体案件を手掛けるピースミール・テクノロジーの存在もグループの事業基盤を支えている。

成長戦略として同社が注力しているのがAI駆動開発である。特に自律型AIエンジニア「Devin」を開発したCognition AI, Incとのパートナーシップを通じ、企業システム開発におけるAI活用を推進している。すでに数百社から問い合わせを受けており、そのうち6割程度がPoC(概念実証)に進み、さらに十数社では実運用を見据えた検討が進んでいるようだ。AI駆動開発は、コード生成だけでなく企業のシステム全体を構築するためのプラットフォームやセキュリティ、運用体制まで含めた総合的な設計が必要とされる領域であり、エンタープライズ企業向けには高度なシステム設計能力が不可欠である。同社はこうした領域で先行することで、新しいシステム開発のスタンダードを作ることを目指している。AIが開発プロセスを大きく変える可能性がある中で、同社はAIを使いこなすアーキテクトとしてのポジションを確立し、付加価値の高いサービス提供につなげる方針である。

資本政策面では、成長投資を優先しつつ株主還元も重視する方針を掲げている。配当については連結配当性向20~30%を目安としており、安定した利益成長を背景に継続的な株主還元を行う姿勢を示している。一方で、DXコンサルティング市場の拡大を踏まえ、今後は人材投資に加えM&Aも検討していく考えであり、蓄積されるキャッシュは人材獲得や事業拡大に活用されよう。

総じてULSグループは、DX投資の上流工程を担う発注側支援というニッチで高付加価値な領域にポジションを確立している企業である。ITコンサルティングとエンジニアリングを兼ね備えた人材による実行力と高い顧客リピート率を背景に安定した成長を続けており、今後はAI駆動開発の普及を新たな成長機会として取り込むことが期待される。エンタープライズ向けシステム開発の構造変化を追い風に、同社がどこまで新たな開発スタンダードを主導できるかが中長期の成長の鍵となりそうだ。

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