■AIAIグループ<6557>の事業概要
3. 収益構造・特性
AIAI NURSERYの収益は、利用者からの保育料並びに自治体からの委託費や運営補助金が中心である。認可保育園に関わる補助金収入については、委託費・運営補助金(園児や保育士に関する補助金や施設の賃借に関する補助金等)を売上高に計上し、施設開設に関わる補助金(新規開設の投資額に対する一定割合の補助金)を営業外収益に計上している。費用については、運営費用(保育園の運営に関わる人件費や物件費)を営業費用に計上し、施設開設準備に関わる費用を営業外費用に計上する仕組みである。
認可保育園の収益特性は一般的に、新規施設開設時は初期費用や採用費用などの立ち上げ費用が先行するほか、開設後数年間は高年齢クラス(3歳~5歳)が定員を満たさないため低在籍数・低在籍率で損失となる傾向にある。しかし開設後の年数経過とともに、低年齢クラス(0歳~2歳)の児童が進級を重ねることによって高年齢クラスの在籍数が増加し、在籍率も上昇して売上高が増加する。そして開設後3~4年目以降になると、在籍数増加・在籍率上昇によって収益化(黒字化)する傾向にある。
AIAI PLUS及びAIAI VISITの収益構造は、国民健康保険団体連合会(国保連)に障害福祉サービス費を請求するほか、利用者に自費負担サービス料を請求している。AIAI PLUSの収益特性として、AIAI NURSERYと同じ建物で運営できるケースもあり、AIAI NURSERYに比べて投資額の低減に加え、AIAI NURSERYとの併設による集客力や採用力の強化、戦略的な人員配置などにつながるメリットがある。さらにAIAI NURSERYは4月1日開設が原則だが、AIAI PLUSは開設時期を自由に設定できるという柔軟性があり、AIAI PLUSはAIAI NURSERYに比べて早期の収益化が期待できるという特徴がある。AIAI VISITの売上高は、訪問支援員1人当たりの売上高(契約件数×訪問回数×訪問単価)に訪問支援員数を乗じた金額となる。訪問単価は訪問支援員の経験年数によって変動する。
なお同社の四半期別の収益特性として、売上面では第1四半期(4月~6月)は新規施設開設に伴って一時的に充足率が低下するが、その後は第4四半期(1月~3月)に向けて受入児童数増加・充足率上昇基調となる。コスト面では第4四半期と第1四半期に新規施設開設関連費用が発生するが、その後の売上高の増加に伴って経費率が低下する。補助金収入は年度末の第4四半期に精算されることが多いが、金額の増減や計上時期のズレが収益変動要因となる。また、M&Aの積極化により、今後はM&A関連費用やのれん償却費の発生が収益変動要因となる可能性があるため、同社は2026年3月期よりEBITDAを新たに開示項目とした。
4. KPI
同社は収益の最大化に向け、各事業において以下の要素をKPI(重要業績評価指標)として管理している。各事業の収益は基本的に、AIAI NURSERYが「利用定員×充足率×利用単価」、AIAI PLUS及びAIAI RESTが「利用枠×稼働率×利用単価」、AIAI VISITが「訪問可能枠×訪問率×訪問単価」、ChaiLDの業務支援が「直営園児数×加入率×利用単価」の掛け合わせで決定される。
AIAI NURSERYの園児数(期末時点)は2023年3月期末4,478名、2024年3月期末4,792名、2025年3月期末5,022名と順調に増加し、2026年3月期末には過去最高の5,231名となった。新規施設開設やM&Aによる施設数増加、幼児教育提供などに伴い園児数は増加基調である。また充足率(期末時点)も2023年3月期末93.0%、2024年3月期末95.4%、2025年3月期末95.9%と順調に上昇し、2026年3月期末は過去最高の96.2%(定員5,439名に対して園児5,231名)となった。全国平均の88.4%※を大きく上回る水準である。なお充足率は期初の4月の新規施設開設に伴って一旦低下するが、その後は期末に向けて上昇する四半期特有の季節性がある。また2026年3月期末の年齢別充足率は0歳児が104.4%、1歳児が104.0%、2歳児が101.4%、3歳児が94.2%、4歳児が91.7%、5歳児が87.3%となった。同社の場合、3歳児以降の定員数を増やしているため、3歳児以降の充足率が100%を下回る形となる。
※ 出所はこども家庭庁「保育所等関連状況まとめ 令和7年4月1日」。
AIAI PLUS・AIAI RESTの利用者数(月間ベース)は2026年3月末に過去最高の2,021名となり、2022年3月期末に比べ約5倍に成長した。稼働率(=利用実績/利用可能枠)は夏休みなどの長期休暇時に減少するなど月次ベースで見るとバラツキがあるものの、直近では当日キャンセル対策の効果などにより、おおむね100%前後の高水準で推移している。同社では今後の課題である新年度4月の利用者数減少・稼働率低下の解消に向けた対策を進めている。
AIAI VISITの訪問件数は、2026年3月に過去最高の582件(外部訪問334件、直営訪問248件)となり、サービス開始直後にあたる2024年10月の約11倍の規模となった。事業開始当初は直営園への訪問支援が中心であったが、1年後には外部園への訪問件数が上回った。また訪問率(=訪問件数/(契約件数×2回))は契約件数を上回る水準で推移している。今後は訪問支援員増員や認知度向上により、さらなる訪問支援件数拡大・訪問率上昇を目指す。
AIAI PLUS・AIAI REST及びAIAI VISITの合計訪問支援件数は2026年3月に過去最高の1,936件となった。訪問単価は1.7万円台で推移している。2027年3月期はさらなる訪問支援件数拡大を推進する。訪問単価は低下するが、訪問件数の大幅な増加により売上高の拡大を加速するねらいである。
ChaiLDの加入率は2026年2月と3月に過去最高となる69.3%へ上昇した。2023年3月期から提供開始した幼児教育の加入者が増加基調にあるほか、売上高も順調に拡大している。幼児教育の増加のほか、自社開発アプリによる写真販売「MEMORU」も好調に推移している。2027年3月期は写真販売の価格体系見直しによって収益拡大を図るほか、幼児教材において思考教育・運動・国語・英語等に加え、道徳教育も提供開始するなどさらなる充実を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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