■要約
ウェルネス・コミュニケーションズ<366A>は、企業向けの健康診断データの収集・管理・分析を一元化するクラウドサービスを中核に、健康管理BPO、健康診断機関ネットワーク運営、特定保健指導などを展開するヘルスケアDX企業である。全国2,200以上の医療機関と連携した独自のデータ接続基盤を強みに、企業の健康管理業務の効率化を支援するとともに、人的資本経営や法令対応に資するサービスを提供している。近年は、中堅・中小企業向けサービスの拡充や、健康データを活用した付加価値サービスの開発を進めており、組織と従業員のウェルビーイングを支えるAIプラットフォームへの進化に向けた投資を加速させている。2025年6月23日に東京証券取引所グロース市場へ上場した。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、主力事業の拡大により売上高14,778百万円(前期単体実績比※5.1%増)、営業利益1,186百万円(同6.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益822百万円(同5.9%増)と、9期連続の増収増益、8期連続の過去最高益を達成した。中長期を見据えたシステム投資や人件費、M&Aなど積極的な成長戦略投資を実行しつつも、基礎収益力の向上やAI活用等による生産性向上が寄与し、着実な成長を遂げた。セグメント別では、健康管理クラウド事業が導入企業拡大により売上高23.7%増と大幅伸長し、健診ソリューション事業も新規獲得やコスト削減により営業利益29.6%増と大幅な増益を記録した。
※ 2026年3月期は連結初年度のため、前期比較は前期単体実績との比較である。
2. 2027年3月期業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高17,500百万円(前期比18.4%増)、営業利益1,600百万円(同34.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,150百万円(同40.0%増)を計画している。2ケタ増収・各利益段階で30%以上の成長を予想しており、前期に続き過去最高益を更新する見込みである。大企業市場の深耕や中小開拓、SaaS型健康管理クラウドサービス「Growbase」の価格改定(約1.7億円のプラス効果)と新プラン投入、買収した(株)あしたのチームの業績寄与などがけん引する。また、データとAIを中核とするプラットフォーム企業への変革に向けて、事業を「ソリューション事業」と「クラウド事業」に再編した。各事業の強みを生かし、付加価値の向上と強固なストック収益基盤の構築により、持続的成長を図る方針である。
3. 成長戦略
同社は、労働人口減少に伴う健康管理・人的資本経営の課題の深刻化を背景に、ウェルビーイング・データを活用するAIプラットフォーム企業への進化を目指している。中核施策として、「Growbase」のプラットフォーム化を推進し、AIを活用した予測分析機能などの提供を構想している。大企業向けには価格改定やアップセルを通じた単価向上を図り、中堅・中小企業向けにはあしたのチームとの連携や新サービス「おまかせ健康管理」により開拓を加速する。さらに、AI-OCR(Optical Character Recognition)※などを活用した健康診断結果データ化業務の効率化により3年間で外注費50%削減を目指すとともに、あしたのチームのPMI推進や、M&Aを含む事業開発やプロダクト開発の専門人材の強化を通じ、非連続的な成長を支える経営体制を構築する。
※ AI技術を活用した光学文字認識機能。
4. 株主還元
同社は株主への還元を重要戦略として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としている。2026年2月に累進配当を導入し、中長期的かつ安定的な配当姿勢を明確化した。2026年3月期の1株当たり配当金は前期比13.0円増の34.4円となり、2027年3月期は40.0円を予定している。また、投資単位への配慮から2026年2月に株式分割(1株→2株)を実施したほか、同年5月には自己株式取得を可能とする定款変更を取締役会で決議し、6月の株主総会で承認可決された。成長投資を継続しつつ、利益成長を背景とした増配や機動的な資本政策の整備を通じて、株主還元の選択肢を広げている。
■Key Points
・2026年3月期業績は主力2事業の拡大が積極的な成長投資を吸収し、9期連続増収増益、8期連続最高益を達成
・2027年3月期は価格改定、AI活用、M&A寄与を背景に2ケタ増収・30%以上の大幅増益を見込む
・「Growbase」のプラットフォーム化を軸に、ウェルビーイング・データを活用するAIプラットフォーム企業への進化を進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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