日本が滅ぶなら、その原因はコロナでも災害でも戦争でもない。もはや手遅れになった少子高齢化がもたらす、日本全体の「時代遅れ」だろう。この情報化社会において、日本人の高齢者の半分はインターネットを使わないで生活をしている。やがて日本は「時代遅れ」で世界から駆逐される。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
戦争や侵略や巨大災害よりも先に来る危機
日本は戦争に負けて国が滅びるのだろうか。侵略されて国が滅びるのだろうか。あるいは、日本は巨大災害で国が滅びるのだろうか。
こうした「劇的」な何かで国が滅びる可能性は確かにあり得るのだが、もしかしたら本当の意味での「日本の滅び」というのは、もっと静かで意外なものかもしれない。
たとえば、「高齢化による時代遅れ」で日本という国は立ちゆかなくなって亡国の道に向かうとしたらどうだろうか。
私は、こちらの方が、戦争や侵略や巨大災害よりも先に来るような気がしてならない。
65歳以上の人を高齢者と呼ぶが、総務省の統計によると日本は高齢者が3,461万人いることになっている。これは人口の27.3%で、言ってみれば3人に1人が高齢者になったと言うことだ。
そして、この総務省は2018年5月25日に「通信利用動向調査」を出している。これを見ると興味深いことが分かる。
インターネットを利用している層は20代が98.3%でほぼ100%がインターネットを利用しているのに比べ、年代が上がるにつれて、どんどん利用者が落ちていく。
高齢層に入る年代は、60歳から69歳は27.8%がインターネットを使わない。70歳から79歳は54.7%、つまり半分以上がインターネットを使わない。80歳以上にもなると81.4%がインターネットを使わない。
これを均(なら)すと、60代以上の人間は54%がインターネットを使っていない。つまり、おおざっぱな現状として、日本人の高齢者の半分はインターネットを使わないで生活をしている。
日本は高齢層が増え続ける国なのだが、その高齢層の半分がインターネットを使わないというのだから、日本が「時代遅れ」になっていったとしても無理もないことだ。
この「高齢化による時代遅れ」は、ある時点で日本を崩壊させる最大要因と化す。しかし、日本は少子高齢化に危機感を持たないのだから、この未来を避けられない。
高齢者が古臭いスタイルから抜け出せない
日本では、いまだに折りたたみ式の古臭い折り畳み携帯電話を持ち続けている人を見る。高齢層がそれにこだわり続けている。日本では、いまだに紙の新聞や紙の出版物にこだわる人が多い。高齢者が古臭いスタイルから抜け出せない。
時代はすでに契約書類もデジタル化に向かっている。それを阻む要因のひとつが「はんこ」なのだが、日本の時代遅れな政治家は「はんこは大切」とか言って率先してデジタル化を阻止している。
こんな調子で、日本は様々な局面であらゆる「時代遅れ」が生き残り、場合によっては「時代遅れ」が幅を利かせるようになっている。それが日本という社会を停滞させ、イノベーションを活かせない非効率な国にさせている。
別に新しい潮流のすべてが素晴らしいというわけではない。
しかし、明らかにインターネットを主軸に据えた技術革新によって世の中が再構築されているのに、その巨大な潮流を無視していたら、日本は「時代遅れ」で終わる国になるというのは必然なのである。