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親日家のジム・ロジャーズが「日本経済の破滅」を予想する最大の理由=東条雅彦

ジム・ロジャーズ「トランプ大統領で世界経済は変わらない」(2016年12月)

こうして過去の発言を振り返ると、ジム・ロジャーズは日本のことが嫌いなのか!? と感じてしまいますが、別にそういうわけではありません。

むしろ、ロジャーズは日本のことが好きで、来年、2人の娘を日本に連れてくる予定だと楽しそうに話していました。

ロジャーズが嫌っているのは、日本政府や企業の「過剰な債務」です。2016年12月3日、ジム・ロジャーズが来日しました。彼は東洋経済のインタビューに応じて、次のように述べています。

Q:
トランプ大統領の誕生で世界経済はどう変わりますか。

A:
一喜一憂をするべきではない。トランプ氏が大統領になったからといって世界経済のファンダメンタルズが大きく変わるわけではない。問題は世界の国々が借金を抱えすぎたため経済成長にブレーキがかかり、今の世代が親世代より豊かになれなくなっていること。その子ども達は、さらに豊かになるのが難しい。

こうした状況の中、世界中の人々が不満を抱えており、そこにシンプルな答えを掲げた人が白馬の騎士のように現れて『救ってあげよう』と言えば、誰もが熱狂してしまう。

米国だけでなく欧州やアジアなど、世界中で同じことが起きている。しかしそれで解決するほど問題は単純ではない。一人の指導者に過剰な期待を持つべきではない。

出典:ジム・ロジャーズ氏「日本株も円も買わない」 – 東洋経済

ロジャーズは、日本のみならず米国政府の抱える負債についても警戒しています。こちらの表は、先進各国の債務残高の対GDP比の推移です。

債務残高の国際比較(対GPP比) 出典:財務省Webサイト

債務残高の国際比較(対GPP比) 出典:財務省Webサイト

驚くほどの勢いで、債務残高が積み上がっています。日本の232.4%という値は、世界で最もGDPに比べて債務が大きくなっています。2001年の144.4%という数字ですら、ましに見えてしまうほどです。

また米国の債務残高(対GPP比)は、2001年にはたったの50.7%でした。それが今や111.4%に達しています。日本、米国、英国、フランス、イタリア、ギリシャの6ヵ国は、債務の膨張が止まらなくなっています。

このような状況を受けて、ロジャーズは次のように述べているのです。

Q:
2017年、世界経済はどう推移するでしょうか。

A:
心配だらけだ。中国が債務国になるだろうし、欧州では政治的な混乱が避けられない。おそらく、いくつかの国、いくつかの大企業が破綻するだろう。サプライズの多い年になる可能性があるように思う。

出典:ジム・ロジャーズ氏「日本株も円も買わない」 – 東洋経済

では、そもそも、なぜ政府の債務膨張は止まらなくなっているのでしょうか?

Next: 株価は上昇したのに、なぜ日本は幸せな国になれないのか?

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