消費者保護を謳う金融庁は、なぜFX業者にゼロカットを義務付けないのか?=今市太郎

金融庁がFXのレバレッジ規制を現行の25倍から10倍に強化しても、リスクは低減しません。これは個人投資家にとって、非常に残念な「消費者保護」と言えます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年10月5日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

消費者保護という名の投資家殺し。レバ規制に潜む矛盾点とは?

大迷惑な「消費者保護」

今、FX業界では、金融庁がレバレッジ規制をさらに締め付け、現行の25倍から10倍にするのではないかとの見方が非常に強くなっており、多くの個人投資家の反発を買っています。

この規制の大きな理由は「消費者保護」という話になっていますが、長く取引をされている方はご存知のとおり、FX取引にはレバレッジをいくら下げても防げない問題が内在しているのが厳然たる事実です。

10倍にレバレッジを引き下げれば、そのぶんリスクが低減するかといえば、決してそんなことはないのが実情です。

個人投資家を救う「ゼロカット方式」

海外FX業者の場合、投資家が投入した証拠金以上の損失が出た場合でも、追証を支払わないで済む「ゼロカット方式」を採用しているところがほとんどです。実はこの仕組みは、過去幾度となく個人投資家を莫大な損失の危機から救ってきました

例えば2015年1月15日のスイス中銀ショックでの相場暴落といった異常事態でも投資家が追証を求められることがないのは、ゼロカットの大きな魅力ということができます。

国内FX業者でも「強制ロスカット」は設定されていますが、これはゼロカット方式と異なり、相場の状況によっては証拠金内でロスカットが執行されずに追証を求められる事態が起こりがちで、その点では意外に海外FX業者のほうが安心だったりもするのです。

前述のスイス中銀ショックでは、その直後からスイスフランが暴騰し、ユーロドルもドル円も応分の影響をうけることになりました。

普段FXで取引をしていると、上昇するにしても下降するにしても、常に通貨ペアの価格が「連続して」上がり下がりしているように思われますが、実はしばしば「値飛び」という現象が起きることがあるのです。これは相場の急激な上昇・下降局面で、FX業者がインターバンクから提示される価格自体が抜けるのが原因で、それが猛烈な幅で起きてしまったのがスイス中銀ショックの夜の状況であったといえます。

このように下落が急激になるとスプレッドが大幅に開いてしまったり、値が出なくなることもあり、たとえストップロスを事前に入れておいたとしても、証拠金を超える莫大な損失が出るケースが実際に国内の業者でも起きています。

消費者保護を訴えるのなら、なぜ金融庁はこのゼロカットの仕組みを本邦の店頭FX業者に導入義務付けしないのか不思議なところですが、これにはやはり、それなりの理由が存在するようです。

Next: なぜ金融庁はゼロカット方式を本邦FX業者に義務付けないのか?

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