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日本株に固執する投資家はなぜ眼前の「歴史的チャンス」に気づかないのか?=江守哲

日本株は円高で軟調、ドル円は見事に115円で打たれました。これで円安の目はなくなりました。それでも日本株に固執する人は、歴史的投資機会を逸することになるでしょう。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年2月20日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

円高は運命。日本株を捨て、再加速するトランプラリーに注目せよ

日本株式市場~上げにくくなった日経平均株価

日本株は円高で軟調になりました。ドル円は見事に115円で打たれました。これで円安の目はなくなりました。私はそう思っています。

為替については後述しますが、これで日経平均は上げにくくなりました。

それにしても日本株は上値が重いですね。

結局のところ、ドル円の動きに左右されています。大型輸出株が多い日経平均は上がりようがない状況に陥りつつあります。

また、東芝問題も影を落としています。東芝のおかげで、日経平均採用銘柄のEPSは大きく低下してしまっています。これでは、投資家が注目する日経平均は上昇できませんし、市場センチメントも改善しません。

【関連】東芝ショック4つのシナリオ~経営破綻確率は15%、上場廃止は五分五分=栫井駿介

ダウ平均の構成銘柄でこのようなことがあるでしょうか?残念ながら、日本の主要企業の裏側は非常に不透明であると言わざるを得ません。その結果、投資家が株式投資を躊躇する要因にもなっています。

最近では、シャープが自主再建を断念し、台湾企業に支援を仰ぎました。また、東証一部から二部に降格されました。

東芝もそのようになり、日経平均採用銘柄から外れる見通しですが、いずれにしても、このような主力企業にこのようなことが頻繁に起きるのでは、日本株への投資に消極的になっても仕方がありません。

個別企業への投資はよほど吟味しないといけないですね。

いずれにしても、日本株全体のセンチメントを支配しているのはドル円です。ドル円の上昇が鈍ければ、日本株全体は上がりません。企業業績は軒並み堅調でしたが、投資家は為替相場の変動が気になるのでしょう。

日本株軟調の理由は「トランプ」にあらず

また、トランプ氏の不規則発言への警戒が根強いようです。しかし、これは、繰り返すように、気にしても仕方がないでしょう。

しかし、それでも投資家は警戒を緩めてはいません。しかし、よくよく考えると、ドル円が上昇しないのは、トランプ発言が背景ではありません

詳しくは後程解説しますが、日米の実質金利差にあります。この点を理解していないと、「トランプ発言のせいで円高になった」などと、トランプ大統領を批判するだけになります。

これでは、本質を全く理解していないことになります。

日経平均は19500円を維持できませんでした。この節目さえも抜けないのかと、がっかりさせられます。やはり、円安にならないと、上昇は厳しいようです。

日経平均採用銘柄のEPSは、17日時点で1204円に低下しました。東芝の影響があるのでしょう。早く225銘柄から外れて、きれいな形になったほうが、投資家も買いやすくなると思います。

そういえば、東芝株がNISA口座の中で買われた銘柄の上位に位置していたとの報道がありました。つまり、NISA口座を利用して多くの投資家が東芝株を購入していたことになります。

これらの投資家が、どのような考えで投資していたかは知りませんが、まさかこのような事態になるとは考えていなかったと思います。

原発事業をやっているので、国が助けると考えていた投資家も少なからずいたでしょう。しかし、こうなってしまうと、会社は早く整理したほうがよいでしょう。

それは、投資家のポジションにも言えます。一発逆転を狙うのもよいのかもしれませんが、それは投資ではありません

たまに上手くいくことがあるのかもしれませんが、再現性がありませんので、そのような投資の考え方とは一線を引いておきたいと思います。

2015年6月高値の更新は難しい

さて、日本株の投資はますます難しくなってきた感じですね。理論的には、15年6月に付けた高値を明確に超えるのはかなり難しいとの結論になると思います。

ドル円が110円を割り込んでしまうと、18年3月期は場合によっては減益になってしまうでしょう。そのリスクは完全には排除できません。

日米首脳会談では、為替に関する具体的な話し合いはありませんでした。しかし、米国サイドもムニューチン氏が財務長官として承認されました。これで、麻生財務相と差しで話し合いができる体制が整ったことになります。

ドル円のどの水準が落としどころになるかによって、日本株の将来も決まってきます。今後の動向に注目しておきたいと思います。

私は、ドル円は120円以上は期待できないと考えていますので、日経平均株価は上手くいって21000円前後まで上昇できれば御の字ではないかと考えています。

年初には多くの証券市場関係者が、「日経平均24000円、ドル円130円」との見通しを出していましたが、これは可能性が非常に低いシナリオであると言えそうです。

【日経平均株価:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ17640円~24150円(17年末23020円)/弱気シナリオ14260円~20790円(17年末15620円)

【日経平均株価:2月の想定レンジ】

強気シナリオ18660円~20260円/弱気シナリオ18155円~19810円

Next: 為替市場~ドル円はやはり円高の運命、年内のドル高はまずなくなった

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