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ビットコイン先物の低調が示唆する「売りたいときに売れない」本当のリスク=高梨彰

ビットコイン先物が上場してから数日、取引は低調です。出来高や各国金融当局の規制発言を見ると、「先物ができて取引がさらに活発に」なんて幻想です。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2017年12月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

建玉も出来高も少ない、BTC先物の「期待はずれ」が示す危うさ

取引規模は「数十億円」止まり

ビットコイン先物が上場してから10日ほど経ちました。取引は低調のようです。

データをみると、取引開始初日から出来高は円にして数十億円規模となっています。「買いっ放し」「売りっ放し」の残高を示す建玉(たてぎょく)も同規模に留まっています。

多分、ビットコインの性質と先物の性質との相性があまり良くないのではないでしょうか。端的に申し上げれば、「取引所の規則・規制・制度が面倒」となります。

各国金融当局からも規制等に関する発言が増えてきました。匿名・ボーダーレスが特徴のビットコインとしては、目先「見たくも聞きたくもない話」が続きそうです。

そうなると、既存のビットコイン取引所での売買が引き続き中心となります。そしてビットコインの規模が膨らむに連れて、売買の確認も時間がかかるようになっているといった話も多く聞くようになっています。ついでにハッキングのネタも増えてきました。

売りたいときに売れるか=流動性リスクを確認せよ

こんな環境下において気にすべきは、値動きもさることながら、それ以上に「売買したいときに売買ができるかどうか」です。「流動性リスク」とも言います。ビットコインに緊張が走るとすれば、十中八九「流動性リスク」です。

株でも為替でも同じなんですけど、「113.30-35」のように表示されている値はあくまで「気配値」です。実際に、売り手と買い手が「1つの価格」にて折り合いが付かないと売買は成立しません。金融危機時に株価が急落したときも、売り手ばかり多くて、買い向かう者が少ないため売買があまり成立しませんでした。

仮に売るつもりが無くても、街で決済としてビットコインを少額でも使って、決済が完了するのにどれだけ時間がかかるか、定期的に確認しておいた方が良いかもしれません。

「先物ができて取引がさらに活発に」なんて幻想です。

【関連】ビットコイン先物の「建玉動向」から相場の流れをつかむポイント=高梨彰

今回のまとめ

  • ビットコイン先物、出来高・建玉とも2000枚(数十億円)規模に留まる
  • このままでは先物取引は盛り上がらないまま
  • ビットコイン、「売りたいときに売れるか」街で確認しておくべき

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image by:Chicago Mercantile Exchange

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高梨彰『しん・古今東西』』(2017年12月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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