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習近平のキリスト教弾圧が致命傷に。中国は欧米一体の封じ込め戦略で沈む=勝又壽良

人間の心を無視する習近平

中国の指導者は、ポーランドの共産主義体制崩壊において、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がいかに寄与したかを目の当たりにした。韓国のキリスト教徒が、軍事政権から民主政権への移行で果たした役割も知り抜いている。香港民主化運動で、キリスト教徒が大きな役割を担ったことも周知のこと。こうして中国は、各国の民主化過程で果たして来たキリスト教徒の役割を考えると、これから増え続けるキリスト教徒の増加は、極めて頭の痛い問題であろう。

老子には、「大国を治むるは、小鮮(しょうせん=小さな魚)を烹(に)るが若(ごと)し」という言葉がある。大きな国を治めるには、小さなことにくよくよしてはいけない、という意味だ。

現在の習近平体制下では、国民の一挙手一投足を監視カメラで縛り、信仰ではキリスト教弾圧という「小鮮を烹るが若し」の振る舞いである。秦の始皇帝も、こうやって謀反封じで商工業を弾圧していたので反感を買い、始皇帝没後間もなく秦は滅びた。

その後の中国史を見ると、国民は税金を払えば後、自由な身であった。地方へ行けば「天子」が誰か名前も知らない農民がたくさんいたと言われている。それだけ、野放図であった訳で、地方の盗賊が謀反を起こさない限り王朝は長続きしたのである。

米中デカップリングの重圧

中国は現在、前述の通り周辺国すべてから反感を買っている。それが、欧米まで飛び火しており、まさに「四面楚歌」の状態だ。

この状態を突破すべく、中国は軍事力拡張に頼っている。だが、拡張した軍事力を維持するには、一定の経済力を保持しなければならない。世界と友好関係を維持しなければ、貿易は不可能である。その条件が最近、厳しくなっているのだ。

米中デカップリング(分断)は、現実問題になっている。米中貿易摩擦に端を発したデカップリングは、昨年のパンデミックによって一層、拍車が掛っている。折良く、米国製造業が回復気運を強めてきた。第4次産業革命によって、大量生産によるコストダウンが、「多品種少量生産」でも可能になったのである。中国で集中的に生産して、先進国へ輸出するサプライチェーンが色あせてきたのだ。この技術的先鞭は、ドイツがつけたもので先進国へ広がっている。

オックスフォード・エコノミクスは、経済のデカップリングによって、米国だけでも中国経済を2040年までに(そうでない予想と比べて)約8%縮小させる効果があると試算している。他の先進国が、この潮流に加われば中国経済の縮小規模は、17%にもなる可能性があるという。

この経済デカップリングは、米国がTPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰すれば確実に実現する。現在は、米国がTPPから抜けてTPP11(環太平洋パートナーシップ)となっているが、いつでも米国復帰を待っている状態である。要するに、米国がまとめたTPPの運転台に、肝心の米国がいないで、日本が代理運転手となっている。

Next: アメリカのTPP復帰は、中国にとって「死の宣告」

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