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習近平のキリスト教弾圧が致命傷に。中国は欧米一体の封じ込め戦略で沈む=勝又壽良

中国は、国内の反体制派を取り締まるため、キリスト教弾圧を強化している。これが、欧米の反発を招くことに思い至らないようである。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年1月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

中国はまさに四面楚歌

習近平中国国家主席は、自国の国力を過大評価している。GDPを水増ししているので、実際の経済力が分からなくなっているのかも知れない。外交戦略は、「戦狼外交」と呼ばれるように、傍若無人を貫いている。ちょうど2200年前の紀元前221年、秦の始皇帝は中国を統一した。今の習近平氏のような振る舞いをしていたと思える。

秦は、始皇帝没後4年で滅びた。周辺国と国内から恨みを買っていたからだ。現在の中国も、状況はよく似ている。アジアでは南シナ海の領有を主張して、他国領の島嶼を占領し軍事基地化している。欧州では、チェコなど小国を虐めて悦に入っている。だが、欧州は小国といえども、侮れない力を発揮する。

EU(欧州連合)において、チェコは各国へ向け「反中国」の働きかけをしている。中国から経済制裁されている豪州もまた、EU各国に向かって中国の危険性を訴え続けている。同じキリスト教文明国であるから、話は、「ツーカー」だ。共通の価値観に立って、中国警戒観は一挙に高まっている。

その引き金は、中国が香港との「一国二制度」を破棄したことである。人権弾圧を恣(ほしいまま)に行っている中国へ、EUは新たな怒りと恐怖感を抱いている。もはや経済優先でなく、民主主義と人権擁護という普遍的価値観に反逆する中国へ、強い警戒観を持つに至った。

キリスト教弾圧が致命傷になる

中国は、国内の反体制派を取り締まるため、キリスト教弾圧を強化している。これが、欧米の反発を招くことに思い至らないようである。

文化大革命の終わりに推定300万人いたとされる中国のプロテスタント教徒の数は現在、1億人を超えたと考えられる(政府の発表では3,800万人)。このほか、カトリック教徒が推定1,000万~1,200万人はいるとされる。

米外交問題評議会は、中国のプロテスタント人口について9,300万~1億1,500万人とする米パデュー大学中国宗教・社会研究センターの推計値(2018年)を引用している。中国のキリスト教徒は、2010年以降に大幅に増加した。中国がこうして2030年には、米国を上回って世界最大のキリスト教徒を抱えると予測する向きもあるほど。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2020年12月24日付)が報じた。

中華民族は、宗教に無関心であるといわれてきた。だが、都市部では現在、生活水準の向上と高学歴化を背景に、キリスト教徒が急増している。人口世界一の中国が、2030年には米国のキリスト教徒(約2億人)を上回るかも知れないというのだ。

キリスト教徒が、共産主義を信じるはずがない。中国は、カトリック教会で掲げる聖母マリア像に代えて、習近平氏の肖像を掲げるように強制するところも現れている。嗤ってはいけない、「習近平の神格化」である。

Next: 人間の心を無視する習近平。他国の我慢がいつか爆発する

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