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ゲームストップ急騰劇はバブルの証?スマホ投資家がヘッジファンドに勝てたワケ=栫井駿介

悪いのは個人投資家かヘッジファンドか、それとも証券会社か?

これに対し、ロビンフッドはたまらずゲームストップ株の取引を規制しました。

実はロビンフッドは、個人投資家に無料で売買させる代わりに、機関投資家に売買情報を提供することで収益を得ていたのです。したがって、顧客である機関投資家の言うことには従う力学が働きます。

すると今度はロビンフッドに批判が集中します。自由取引であるはずの株式市場に対し、証券会社の一存で取引を制限してしまったのです。これに対し当局は強く非難し、同時に「個人投資家対ヘッジファンド」という対立構図が浮き彫りになりました。

ヘッジファンドが巨額の取引を続けたところで規制されることはありません。一方で個人投資家だけが規制されるのはおかしいという議論が巻き起こったのです。ヘッジファンドといえば巨額の利益を貪る象徴だと考えられていることも、心理的対立を助長する要因となっています。

一方で持ち上がっているのが、個人投資家側の行為が違法になるのではないかという議論です。

機関投資家は他のファンドとの「共謀」が規制されています。機関投資家同士の共謀なら明らかな違法行為なのですが、個人投資家には同じ規制が適用されません。一方で、買いを呼びかけた行為が「相場操縦」や「風説の流布」(※米国法では日本とは少し違うかもしれません)に該当する可能性が指摘されています。

すぐに答えが出そうになく、また一方的にどちらが悪いという問題でもないので、社会的対立と相俟って長引きそうな話です。今後の動向をよく見る必要があります。

昔からある「仕手戦」が形を変えて現れただけ

ただし、株式市場においてはこのようなことは繰り返されてきました。いわゆる「仕手戦」と呼ばれ、相場師同士が戦った事例がいくらでも出てきます。最近では規制や情報の高度化によりあまり見られなくなっていましたが、それが技術の進歩により違う形で再び顔を出しただけにすぎません。

さて、この仕手戦ですが、これ自体は必ず終わりを迎えます。空売り勢が撤退すると、勝者は利益確定して終わりということになるからです。そのあとは誰も買う人がいなくなり、やがてあるべき株価に戻っていきます。

また別の株で同じことも起きると思われますが、やがて個人投資家間でもうまく利益確定できた人とそうでない人の差が明確になっていきます。そうなると彼らは一蓮托生ではありませんから、結束も弱くなっていくでしょう。思惑がバラバラになると、仕手戦は戦えません。

当局も株価の異常な動きを問題視していることから、法律や規制が整備されていくことになるでしょう。この現象は局所的な物として終焉を迎えると考えます。

Next: 「強欲」と「レバレッジ」こそバブルの条件

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