クルマ総合情報サイト「カービュー!」に掲載された、日産と「キャンプ女子」とのコラボ記事の内容があまりにも危険すぎると、多くのキャンパーなどから批判の声が殺到する事態となっている。
取沙汰されているのは、日産車「キックス」をPRしていた記事と動画で、「初めての冬キャン」をテーマに、キックスに乗って冬のキャンプに出掛けるといった内容。ただ記事や動画には、落ち葉が一面に敷き詰められている場所で、楽しそうに焚火をしている姿が映し出されており、さらにその近くにはクルマが置かれている。キャンプ経験がない人間でも、「引火して燃え広がる危険性があるのでは?」と心配になるような光景だ。
これはマジであかんやつ…常識ないとまでは言わないけど、秋冬にキャンプしたことない初心者レベルのミスやろ…
本人にも伝わって反省してくれることを祈ります。 pic.twitter.com/LQEZ3wSlZP— 星を見るひと@SoloCamper (@Stargaze_Camper) February 9, 2021
よく見ると焚き火台の上にスタンド焼き網乗せてアヒージョ
爆ぜとるやないか pic.twitter.com/unATN6PaWJ— 魚類 -ぶり- (@BLi_TZen) February 8, 2021
記事と同時にアップされたYouTube動画には、公開直後から多くの苦言が寄せられた模様で、そのためかその動画のコメント欄はしばらくするとOFFの状態に。その対処の素早さに、一部からは「焚火は鈍感なのに、ネットの火種には敏感」といった声もあがった。
山の火種には
鈍感なのに
ネットの火種には
敏感な模様— 円 (@madoka2019) February 9, 2021
しかし、そんな素早い対処の甲斐も無く、非難の火の手はSNSなどを中心に燃え広がり続け、ついには当該記事や動画は削除されることに。さらにそれらのコンテンツに「キャンプに詳しいインフルエンサー」といったスタンスで出演していた「マイキャン」なる人物も、自身のTwitterでお詫びする事態となった。
【 お詫び 】
以下の動画、記事での撮影時の安全面に関しまして
管理されたキャンプ場の敷地内にて、安全に配慮して撮影しておりますが、
一部配慮が至らないシーンがございました。
心より、お詫び申し上げます。 https://t.co/CwcRzjvbSa— マイキャン(my.camp.style) (@mycampstyle1) February 9, 2021
ところがそのお詫びツイートも、中身は「安全に配慮して撮影」といった、いわばお決まりの体裁だったことで、さらなる炎上を呼ぶ格好に。「実際どんな配慮をしていたんだ?」「そもそも落ち葉の上で焚き火をすること自体が一発アウト」「言い訳がましい」といった批判の声が殺到し、収拾のつかない事態となっている。
youtuberマイキャンが山火事起こしかけて炎上したやつ、写真がもう数え役満。
謝罪もあたかも「安全に配慮はしてたけど、映像には入れてませんでした」みたいなノリにしてるけど、あんな状況ではバケツの水やら消火器程度では全然足りないのわかってるんかな。どんな"配慮"してたか聞きたい。— みなせ (@minase_gawa) February 9, 2021
監修者本人の謝罪がとても言い訳がましいのが本当に残念。
自分の無知を素直に認めればいいのに、なんでわざわざ「安全に配慮して撮影しておりますが」なんて枕詞つけるのか。落ち葉の上で焚き火する時点で安全に配慮もクソもないだろうに。 https://t.co/Lwn6fjjTIQ— ゴリラオンライン (@gori_CBR650R) February 9, 2021
ブーム拡大の反面、低下するインフルエンサーの質
お笑い芸人・ヒロシさんによるキャンプ動画や、アニメ化もされた漫画「ゆるキャン△」などの影響もあり、2020年の「新語・流行語大賞」のトップテンに「ソロキャンプ」が選ばれるなど、ここ数年で空前のブームとなっているキャンプ。
国内のアウトドア市場も活況のようで、ザ・ノース・フェイスやモンベルといった人気アウトドアブランドは、各地の商業施設から引っ張りだこの状況とのこと。さらにワークマンも、アウトドアファンを意識した商品を多く企画・販売することで、コロナ禍でも業績好調が続く。さらにビックカメラなど、アウトドアファン向けの新業態をスタートさせる他業種も最近は多くなっている。
しかし、このようにキャンプブームが過熱するなかで、肝心の現場ではいわゆる「にわか迷惑キャンパー」による非常識な行動が横行しているとの声が多く見られる。深夜まで集団で騒いだり、勝手に他人の山に入ったりといった迷惑行為をはじめ、なかには放火騒ぎを起こす不届き者も。その影響もあってか、このブームの最中に関わらず閉鎖するキャンプ場も増えてきているという。
30人くらいの集団で集まって深夜1時くらいまでずっと騒いでる完全に迷惑キャンパーが前に遭遇したけど、ああいうのは2度とキャンプやらないでほしい
— エドガワ™️ (@Inari_Edogawa) February 6, 2021
いや、ほんまこれな?コロナでバブル期以来のキャンプブームきてて、勝手に他人の山に入ったりする奴めちゃめちゃ出てきてて迷惑してるし、放火騒ぎもある。
大体の山には所有者おるからな??素人は大人しく有料キャンプ上でやっとれ
TVで放送してるキャンプ特集でもヤバいの多い。— まる (@marulelouch) February 9, 2021
昨今のキャンプブームにより、キャンプ人口の増加と共に、マナーとモラルの無いにわかキャンパーが増加。
そういうキャンパーが増えたため、キャンプ人口が増えたにもかかわらず、逆に閉鎖するキャンプ場も増えたのは皮肉な話。— 夕凪・ω・ @U250 (@parvenu6) February 6, 2021
さらに「TVで放送してるキャンプ特集でもヤバいの多い」と嘆く人もいるように、昨今のキャンプブームに乗ったテレビの企画やネット上の動画や記事には、キャンプの基本的なマナーやモラルをまったく踏まえていないのではと訝しんでしまうようなものも、多く存在しているとの声も。要はブームが拡大するいっぽうで、その正しい知識を伝えるインフルエンサーの頭数やクオリティが追いついていないというのだ。そういった者たちによる低クオリティなテレビ番組やネット動画が、迷惑キャンパーたちの発生源となっているとも言えなくはないだろう。
実際、今回批判が殺到する事態となっている「マイキャン」なる人物も、過去にSNS上などで、危険だと指摘されるような行動を取っているところを自身で投稿していたようで、キャンプ時における安全の確保といったものには、まるで無自覚だったのではとの指摘も。ネット上の古参キャンパーからは「こんな奴がキャンプ業界で有名人扱いされてるとか迷惑だし腹立たしい」「もうYouTube含めSNSでキャンプ投稿辞めたらどうです?」といった声まであがる。一見、厳しすぎるような印象も受けるこれらの意見だが、いずれも最近のキャンプを取り巻く状況を憂う想いがあってこその声だろう。
マイキャンさん?なんか以前にもインスタに別の「落ち葉上焚き火」を上げてたらしく、「日産や広告代理店の指示で……」みたいな言い訳も無理ですね
— マルタピ@ボイロ実況者(仮) (@Tapi_Akari) February 9, 2021
枯葉だらけの場所で何故焚火するのか、全く理解できん。いつも録画してるタナカケンの番組で初めて観た時「コイツなんかムカつくなー」って思って録画消したけど、炎上ツイートでまた遭遇してしまうとは。こんな奴がキャンプ業界で有名人扱いされてるとか迷惑だし腹立たしい。
— マサカツ (@kk_mask) February 9, 2021
もうYouTube含めSNSでキャンプ投稿辞めたらどうです?
以前のインスタ投稿でも落ち葉の上で焚火してますよね?
あなたみたいな映えしか意識してない間違えた知識及び危険な行為を真似してアホみたいな人が増えるとキャンプ場も迷惑では?
今回は取り返しのつかない様な事にならずに良かったですがね…— ジジ (@jiji_0111) February 9, 2021
焚きつける気はないけど、現地監修していたならば相当な手抜かり。
インフルエンサーの企業案件は発信者個人だけの責任に収まらず、キャンプ界隈全体の命取りになりかねない。— みず (@nardis65756391) February 9, 2021
古くからのまっとうなキャンパーたちがこれまで抱えてきた「にわか迷惑キャンパー」たちへの不満や苛立ちが、思わぬ形で発露したとの見方もできる今回の騒動。昨今のキャンプブームが今後文化として定着するのか、それとも単なる一過性のものとして消費されて終わるのか、その岐路に立つ現状を象徴する出来事ともいえるだろう。
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