見ず知らずの女性に性行為を条件に金を貸す、いわゆる「ひととき融資」を行ったとして、50代男性が貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されたニュースが話題となっている。
報道によると、容疑者の50代男性は2020年6~7月ごろ、貸金業の登録をすることなく、20代の女性2人に3回で計160万円を貸し付け。容疑者はSNSでお金に困っている女性を探し、性交渉を条件に貸し付けを持ちかけていたという。
さらに容疑者は、現金を渡す際に「婚約証明書」と称した書面に署名させていたとのこと。逮捕された50代男性は「婚約者に対してお金を貸した」と容疑を否認しているようだ。
少額の借金で何度も肉体関係を強いられるケースも
ネットで知り合った見知らぬ者同士がお金を貸し借りする「個人間融資」は、法外な利子を取られることも多く以前から社会問題化しているが、その一種でもある融資の見返りや利子代わりに性行為を求める「ひととき融資」も、ここ数年でかなり増えている模様。SNS上で「#ひととき融資」と検索すれば、その手の相談に乗るといったツイートが多数見つかる状況だ。
「ひととき融資」のターゲットになるのは、真っ当な金融機関では審査が通るのが厳しい学生やフリーターといった身分の若い女性、あるいは過去の金融事故などが原因で同様にお金が借りれない女性たちだ。昨今はコロナ禍による女性の貧困がよくクローズアップされるが、そういった層が格好の的になっていることは想像に難くないだろう。
過去にも、この「ひととき融資」が事件化したことは多々あり、2019年には女性2人に対して性行為を条件に現金を貸し、利息を受け取っていた30代男性が捕まっている。「お金も返ってくるし、性的な行為もできてすばらしい融資だと思った」との呆れた供述をしていたことが、当時大いに話題となった事件だが、このケースでは法定金利の最大7倍の金利で現金を貸し付けていたことから、容疑者は出資法違反の容疑で逮捕されている。
いっぽうで金利自体は低め、あるいは無利子に設定されているものの、「返せなかったら肉体関係」といった約束でお金を貸すパターンも存在するようだ。女性側が借りた金額が数万円レベルの少額であっても、そもそも「ひととき融資」に手を出さざるを得ない属性や経済状況だけあって、返済が滞ることはしばしば。その際に「返済期間を延ばすためにホテルへ」と持ち掛けられ、その後もズルズルとそれの繰り返しに。女性側としては最初に借りた数万円をダシに、何度も肉体関係を迫られてしまうのだ。
このように同じ「ひととき融資」と称される行為でも、法外な利子で金儲けすることを目論む者がいれば、金を貸すのはいわば出会いのきっかけで、金儲けよりもコスパ良くセックスできる相手が欲しいといった動機で、手に染める者も存在する模様。今回報道されたケースは、法外な利子での貸し付けを取り締まる出資法違反ではなく、貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されたことから、どちらかというと後者の女性の肉体目当ての犯行だった可能性が高い。
とはいえ金目当て・身体目当てのどちらにしても、借り逃げした女性に対してはリベンジポルノ的な報復をすることもあるようだ。たとえ借金を完済したからといって、その恐れがなくなることは無いワケで、女性にとって「ひととき融資」はリスクしかないのだ。
表には貼らないけど、ひととき融資で借りて逃げたらしい女性がM開脚動画のスクショ・保険証・つとめ先などさらされてるっぽいツイート見付けてしまった。
というわけで女性は金に困っても #ひととき融資 なんぞに手をださんようにな。
身分証明書と裸体の写真とられて脅される、撒かれるあるからな— 🍃将鼓🍃文化ネトウヨアルバイトリーダー(文化包丁的) (@shoukootaden) September 17, 2020
容疑者が女性に「婚約証明書」を書かせた理由は?
ところで今回の報道に関しては、容疑者の50代男性が女性に「婚約証明書」と称した書面に署名させたことが、ネット上の一部で取沙汰されているが、これはどうやら「個人間融資」や「ひととき融資」の事件化というのが、実際のところ何かと難しいという問題が背景にあるようだ。
>RT
ひととき融資?
婚約証明書?
なんなのいったい。— mattari (@kanu_mattari) March 3, 2021
借用書ではなく婚約証明書って…小室騒動で閃いちゃったんすかね?
性行為条件「ひととき融資」か 貸金業法違反容疑で逮捕 神奈川(毎日新聞) https://t.co/pW8gyucrIX
— ケンケロウ🌈ソシオパスな連中🌈 (@ken_kero_) March 3, 2021
というのも、法外な利子を取っていたのならまだしも、個人間でのお金の貸し借りに関しては、貸した側の行為がビジネスだと見做されないと、貸金業法違反(無登録営業)容疑が適用されないというのだ。ビジネスではなく個人間でのお金の貸し借りとされれば、それは民事不介入の範疇となるという。
このことから、今回の容疑者が女性に「婚約証明書」へのサインを求めたのは、もし借金していた女性から警察などに訴えがあったとしても、「あくまでビジネスではない」と言い逃れるための“保険”だったと考えられる。ただ、この容疑者は複数の女性に「婚約証明書」への署名を強いていたことが判明したことから、となればビジネス行為と見做せられるということで、警察も逮捕に踏み切ったようだ。
とはいえ今回の件もいわば氷山の一角で、犯行側も捕まらないように何かと策を凝らして来ている印象。コロナ禍で貧窮する女性が増えるなかで、このような卑劣な犯罪に引っかかる方がこれ以上増えないよう、祈るばかりである。
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