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英国が「中国衰亡」のキーマンに。ロシア・イランを取り込み自滅する習近平=勝又壽良

中国は、恫喝外交しか知らないことから大きなミスを犯した。NATO(北大西洋条約機構)の存在を忘れていた。中国が、ロシアとイランを自陣へ引き入れることは即、NATOへの挑戦に等しい。中国は、まさに地球規模で「敵」をつくってしまったのである。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年3月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

中国の楽観は消えた

米中外交トップ会談は、3月18~19日にかけて3回行なわれた。米国は、中国に対してレッドラインを突きつけたと見られる。

中国は、余りのショックで中国指導部の意見調整が遅れたのであろう、国内メディアは米中外交トップ会談の報道を抑えていたほどだ。

レッドラインとは、尖閣諸島と台湾の防衛を基本にインド太平洋戦略を示したと見られる。中国は、これに驚いたに違いない。

習近平氏は、6月中にも米国を訪問して7月1日の中国共産党100周年を盛大に祝う予定であったという。こういうスケジュールをみると、米中が徹底的な対立になるという予想をしていなかったと見られる。

独裁政権の欠陥に落ち込む

中国が、米中関係をそれほど深刻に受け取っていなかったのは、国際感覚の違いも大きな要因であろう。

独裁政権の中国は、自国民を威圧し、どう喝することにあまりにも慣れきっている。海外に展開した場合、そうしたやり方がいかに逆効果となるかを理解できないという問題を抱えている。独裁国家は、自国内では体制への批判者たちを脅しによって容易に屈服させられる。外国政府は、国内同様に簡単に服従しないのだ。

繰り返せば、中国の麻痺し切っている恫喝手法に対して、米国はレッドラインの提示によって、「一歩も引き下がらない」と断固たる決意を示され、中国は大慌てしたと見られる。

中国が大慌てしたと判断するのは、ロシア外相と会談する一方、イランとの間に25年間の経済協力を急いで発表したことだ。中国は、藁を掴むような気持ちでロシアとイランを中国陣営に組み入れる戦略へと動いたと見られる。イランとの間では、軍事協力も模索しているようだ。

中国は、恫喝外交しか知らないことから大きなミスを犯した。NATO(北大西洋条約機構)の存在を忘れていた。中国が、ロシアとイランを自陣へ引き入れることは即、NATOへの挑戦に等しいのである。

NATO加盟国30ヶ国が、中国への防衛線を築けば、それだけで中国に軍事負担となるはずだ。中国は、インド太平洋戦略によって、日米豪印4ヶ国と対峙する一方で、背後にNATO軍が控えるという最悪事態を招くことになった。

中国は、まさに地球規模で「敵」をつくってしまったのである。

中国外交は、地球を俯瞰した外交でない。新興国特有の性急さが前面に出ている。そもそも、香港の「一国二制度」を取り決めた英中協定を一方的に破棄し、香港へ「国家安全法」を強引に導入したことが失敗の始りだ。英国との協定破棄が、どのような波紋を呼ぶかについて一顧すらしなかったのである。韓国文政権が、日韓慰安婦合意を破棄したのと同じ振る舞いであった。英国の怒りは、日本の怒りにも通じるものである。

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