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英国が「中国衰亡」のキーマンに。ロシア・イランを取り込み自滅する習近平=勝又壽良

英国が中国報復の刃磨く

この英国が、今後の「中国衰亡」に向けて大きな役割を果たすことは決定的である。

かつての大英帝国として、ユニオンジャックを世界の港にはためかせた国家だ。中国は、その英国との間に結んだ協定を打ち捨てた。その恨みが、中国の将来に立ちはだかることは不可避であろう。日本が、韓国と容易に外交交渉しない背景と同じなのだ。

英国は、3月16日発表した外交・安全保障の方針「統合レビュー」で、次の点を明らかにした。

1)民主主義と人権を擁護し米国との関係を重視する。
2)インド太平洋への関与を強める。
3)「クイーンエリザベス」をインド太平洋へ派遣し、NATOと連携する。
4)4月末にジョンソン首相が初外遊先としてインドを訪問する。

これら4項目には、対中国戦術が明瞭に示されている。以下、項目別にコメントをつけたい。

(1)「民主主義と人権を擁護し米国との関係を重視する」は、米国と協力して中国へ対抗すると宣言したもの。米英両国は兄弟国である。時に対立はあっても協力し合い、互いの権益を守ってきた関係だ。最近は、この中へ日本を加える動きが高まっている。日露戦争(1904~05年)当時の密接な三ヶ国の関係に戻るのだ。

(2)「インド太平洋への関与を強める」では、中国の軍事進出に対抗すると鮮明にしている。英国は2月1日、TPP(環太平洋経済連携協定)へ加盟申請した。年内に正式加盟の運びと見られる。英国が、EU(欧州連合)を脱退してTPPに加わる理由は、アジア経済の発展に期待している結果だ。それゆえ、中国の軍事進出を防ぎ、安定的発展を守らなければならない死活的課題を背負うことになった。この点は、見落とされがちだが極めて重要である。

同時に、中国が将来TPPへ参加申請した場合、拒否する狙いも込められている。英国議会は、「人権弾圧国と貿易協定を結ばない」とする新立法を模索しているほど。英国の中国排除の決意はこのように高いのだ。中国は、これほどまでに英国を怒らせたのである。

(3)「『クイーンエリザベス』をインド太平洋へ派遣し、NATOと連携する」は、最新鋭空母「クイーンエリザベス」が日本を準母港にして長期覇権する計画である。「クイーンエリザベス」は、英国がインド太平洋戦略の「クアッド」(日米豪印)に加わる前提で派遣されるのであろう。英国がクアッドに加わることは、NATOへの橋渡しをして、クアッドをNATOと連携させる意味合いと見られる。

(4)「4月末にジョンソン首相が、初外遊先としてインドを訪問する」は、英国のクアッド参加をめぐる事前の意見調整と見られる。伝統的に「非同盟主義」を貫いてきたインドが、クアッドに参加するにはいろいろと制約もあろう。英国は、その辺りを事前に調整してクリアする意向と見られる。

イラン抱えこみは自殺点

中国が、ロシアとイランを自陣営に取り込む戦略の妥当性を検討したい。

中ロは、もともと共産主義国家として同根であった。後に、主義主張の食違いから中国とソ連(当時)は鋭く対立した。ソ連軍は中ソ国境に300万の大軍を待機させ、中国へ圧力を掛けるまでになった。そこで中国は、敵対した米国と手を握り、ソ連へ圧力を掛ける事態となり、ソ連は解体に追込まれた。ロシア(現在)にとっては、中国の裏切りがなければ「解体」という憂き目に遭わなかったという話にもなろう。

こういうロシアにとって、土壇場で中国を「裏切る」ことで快哉を叫ぶ場面もあり得るのだ。「策士」プーチンのことである。どんな構想を描いているかは、本人しか分からないという不気味さを抱えているのだ。

中国とイランは、経済や安全保障を巡る25年間の協定を結んだ。イランのロウハニ大統領が公式サイトで発表した。貿易や人権問題、核合意などを巡り米国との対立を深める両国の思惑が一致した。だが、イランも複雑な国内情勢を抱えている。中国との戦略協定をめぐっては、イラン国会内で強烈な反対の声があがる。誇り高いイランの議会には、経済や外交で中国頼みの強まることへ不満が根強いのだ。『日本経済新聞』(3月28日付)が報じた。

中国イラン間の協定内容は明らかになっていない。地元メディアなどによると、中国がエネルギー分野のほか鉄道、高速通信規格5Gなどの整備に投資し、イランが原油やガスを低価格で提供するとされている。バーター(物々交換)である。中国が計4,000億ドル(約44兆円)をイランに投資するとの報道もある。2,800億ドルをエネルギー部門、1,200億ドルを輸送、通信、製造部門に投じる見通しという。この全額が、すべてバーターかも知れない。

ただ、イランが安値でバーターしていれば、いつかは必ず中国に搾取されているという不満が爆発するに違いない。中国は、火薬庫へ足を踏み入れるリスクを抱え込んだのである。

そのリスクは、中国イラン協定が軍事面にも及ぶ可能性のあることだ。2019年12月にイラン、中国、ロシアの3カ国がインド洋とオマーン湾で合同軍事演習を実施した。中国はイランを中東の要衝と位置づけ、ロシアなどとつくる上海協力機構(SCO)への加盟を呼びかけてきた経緯がある。この中国・ロシア・イランの3ヶ国が合同軍事演習を定期化して、頻繁に行なうようになれば、NATOが黙認することはない。対抗措置を取るはずだ。

Next: 中国のロシア・イラン巻き込みは火に油。包囲網を自ら縮める行為

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