足元の景気指標は明らかに好転、第2四半期以降の見通しは?
前々週紹介したように、3月の官製・製造業PMIは予想外の50越えとなった。2月(累計)の一定規模以上工業企業利益は15年5月(累計)以来の増益に転じている。足元の景気指標は明らかに好転を示している。
第2四半期以降はどうなるだろうか?
1線級都市を中心に不動産価格の回復が著しい。また、国務院は不動産在庫削減を政策目標としており、借入コストや融資条件の緩和などが予想される。不動産開発投資意欲は高まるだろう。
一方製造業の設備投資は二極化しそうである。
素材などの重厚長大産業の投資は供給側改革の加速によって、大きく制限されるだろうが、第13次五カ年計画の開始によって、省エネ・環境、新エネルギー、通信、ハイテク産業などでは、新たに始動するプロジェクトが急増するだろう。全体としてみれば、製造業の設備投資はこれ以上鈍化しないであろう。
失業率は安定しており、所得も安定成長している。今後も、消費は堅調さを保つだろう。
心配なのは外需であるが、輸入との差である純輸出の経済全体に占めるウエートは小さい。輸出が回復しなかったとしても、経済全体に与える影響は小さいだろう。
中国は社会主義国であり、計画経済が今も生きている。第13次五カ年計画の初年度は各部門が成果を競うことで、今年は投資が拡大し易い年となるだろう。
生産適齢期人口が減少し、大量消費社会という面での先進国へのキャッチアップがほぼ終了した現在、中国の成長率は段階的に低くなるのは避けられない。しかし、第2四半期、第3四半期に限れば第1四半期並みの成長率は確保できそうだ。
少なくとも今年前半は、中国経済ハードランディング懸念の再燃はなさそうだ。
(4月16日作成、有料メルマガから一部抜粋)
『中国株投資レッスン』(2016年4月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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TS・チャイナ・リサーチの田代尚機がお届けします。中国経済や中国株投資に関するエッセイを中心に、タイムリーな投資情報、投資戦略などをお伝えします。中国株投資で資産を大きく増やしたいと考える方はもちろん、ただ中国が好きだという方も大歓迎です。